ラット胎盤, ことに絨毛間腔に直接 expose した抗原成分にたいする免疫学的研究
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概要
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夫の臓器または皮膚を妻に移植した場合すみやかに拒否されるにもかかわらず Patemal histocompati-bility antigen を含む妊卵がなんの拒否反応もうけず母体子宮内に着床し発育する事は実に不思議な現象と云わねばならない.「妊娠とは同種移植の見事な成功例」として注目され検討されてきたが, 反面妊孕現象には移植では見られない独特の免疫学的性質が存在する.それは戯器移植の際移植をうけた reipient にとつて問題となるのは dopo rの histocompatibility antigen のみであるが妊娠の場合それ以外に胎盤特異抗原をも考慮に入れなければならないからである.妊娠中胎児と胎盤は臍帯を通じて相互に連絡しているため両者の間に immunological tolerane が成立し, 胎児は自己に存在しない胎盤特異抗原をもselfとして認識する.ところが生後両者の間の関係が絶たれるため妊娠中に成立した tolerance は廃絶し, 人にとつて胎盤特異抗原はnotselfとなる、このような免疫学的状況のもとで妊娠し, ふたたび胎盤特異抗原と接触した場合母体はこれを not self と認識し抗体を産生する可能性がある.したがつて妊孕現象を免疫学的に解明する場合 histocompa-tibity antigen のみならず胎盤特異抗原, ことに絨毛間膣に直接せつした胎盤成分に存在する胎盤特異抗原についても考慮を払う事が是非必要である.今回われわれは hetero の system ではあるがラット胎盤持異抗原について免疫学的考察を加え以下の成績を得た.1)ラット胎盤 homogenate にたいする抗体の約1/3は他の臓器抗原では吸収することのできない胎盤特異抗体であつた.2)家兎を免疫して得た抗ラット胎盤抗体を雄ラットの尾静脈から投与し, 抗胎盤抗体のうち共通抗原にたいする抗体をすべて吸収した結果, ラット胎盤の vascular bed antigen にも胎盤特異抗原の存在することを確認した.3)そして璋量的に検討した結果ラット胎盤の vascular bed antigenにたいする抗体の約1/3は胎盤特異抗体である事を知つた.
- 1971-12-01
著者
-
都竹 理
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
中室 嘉郎
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
小川 誠
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
若尾 豊一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
小川 誠
大阪大
-
中室 嘉郎
大阪府立病院
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