妊婦の血液流動的性状と胎児の発育

概要

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胎児の発育と、妊婦の血液流動的性状との関係を知るために、SFD児を出生した妊婦と正常妊婦(対照群)の血液粘度(低ずり速度と高ずり速度の両条件のもとで測定した)と赤血球変形能を測定し、以下の結果を得た。1.SFD出生群の血液粘度は、ずり速度0.5sec^<-1>で測定した場合に、対照群に比して有意に高値を示した。2.ずり速度230sec^<-1>で血液粘度を測定した場合には、SFD出生群、対照群の間に差を認めなかつた。3.血液粘度に影響を及ぼす因子である、ヘマトクリット値とフィブリノーゲン濃度は、SFD出生群で高値を示したが、有意の差は認められなかつた。4.SFD出生群の赤血球変形能は、対照群に比して有意に低値であった。5.対象とした全妊婦の血液粘度(ずり速度0.5sec^<-1>で測定したもの)と、児の出生体重の間には負の、赤血球変形能と児の出生体重との間には正の相関関係が、それぞれ認められた。以上の結果により、母体血液の流動的性状と、胎児の発育との間には、密接な関係が存在することが判明した。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-02-01