妊婦血中Human Placental Lactogenの連続的測定による胎児管理
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
分娩前3週間にわたり,少なくとも1週間に1回以上の割合でHuman placental lactogen(以後HPLと省略)が連続的に測定された妊婦129例(正常妊婦69例,異常妊婦60例)について,HPL値の推移とfetal distressの発生との関係を追求した.HPL値が上昇しているうちに分娩に至る妊婦の群を「上昇群」,HPL値の変化が20%未満の群を「不変群」,HPL値が下降してから分娩に至る群を「下降群」とすると,「上昇群」に属する妊婦は全妊婦の11.1%を占め,「不変群」は63.0%,「下降群」は25.9%を占める.糖尿病合併妊婦をのぞいてfetal distressの発生は,「上昇群」では皆無であり,「不変群」では発生率は3.7%と低率であるが,「下降群」では29.4%と高率である.糖尿病合併妊婦では「上昇群」に子宮内胎児死亡が発生し,「不変群」でもfetal distressが25%も発生している.分娩前1週間以内に測定されたHPLの単独測定値とfetal distressの発生の関係をみると,HPL値が4μg/ml以下と異常低値を示す場合にはfetal distressは16.7%に発生するが,HPLが5〜6μg/mlを示す場合と比較して発生率(14.3〜17.0%)に差は認められない.子宮内胎児発育遅延の発生率も,HPLが4μg/ml以下の場合と5〜6μg/mlの場合とでは差が認められない.以上により,HPLの測定は糖尿病合併妊婦をのぞいて胎児の管理に役立つが,HPLを連続的に測定してその値の推移を観察することが大切であることが判明した.
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1982-10-01
著者
-
丸本 百合子
同愛記念病院 産婦人科
-
貝原 学
妊婦貧血管理検討小委員会
-
貝原 学
東京大学医学部附属病院分院産婦人科
-
小林 拓郎
東京大学医学部附属病院分院産婦人科
-
小林 拓郎
東京大・分院
-
丸本 百合子
東京大学医学部付属病院分院産婦人科
-
谷口 一郎
大分県立病院産婦人科
-
貝原 学
帝京大学医学部附属市原病院 産婦人科
-
小林 拓郎
帝京大
-
小林 拓郎
東京大学医学部附属病院分院 産婦人科
-
谷口 ー郎
東京大学医学部附属病院分院産婦人科
-
貝原 学
帝京大学市原病院
-
小林 拓郎
東京大学医学部分院産婦人科
関連論文
- 妊娠中毒症における赤血球の異常に関する研究
- O93 気管支喘息患者の妊娠分娩について
- 52 気管支喘息患者における受胎時期の妊娠分娩への影響
- 栄養問題委員会(平成元年度専門委員会報告)
- 栄養問題委員会報告 : 妊婦貧血の現状分析ならびに用語・診断基準に関する解説
- 特発性アジソン病合併妊娠 : 症例報告と文献的考察
- 抗ウィルス剤1doxuridineによる外陰部尖圭コソジローマ治療の試み
- 81. 抗ウイルス剤ldoxuridineによる尖圭コンジローマ治療の試み : 第11群 免疫 II
- 妊娠と合併した乳癌一症例報告と文献的検索
- 血中CEAの連続測定により頚癌放射線治療患者の予後を判定しうるか