子宮頚部異形成, 上皮内癌及び微小浸潤癌に対するCDDP腔内投与法の試み
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概要
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Cis-diaminedichloroplatinum (以下CDDP) を直接子宮頚部に接触させるCDDP膣内投与法を, 子宮頚部異形成, 上皮内癌及び微小浸潤癌に試みた. 対象は12例で, 子宮頚部異形成7例 (軽度異形成4例, 中等度異形成1例, 高度異形成2例), 上皮内癌3例, 微小浸潤癌2例である. CDDP腔内投与法は, CDDP5mgを腔内ガーゼに浸み込ませ, これを10日間(CDDP計50mg)繰り返した. CDDP腔内投与期間中, 全例連日細胞診検査, 及び血漿中総Pt量を測定した. 異形成では, 投与終了後子宮頚部組織検査を行つた. 上皮内癌及び微小浸潤癌では, 治療効果判定のためと組織内Pt濃度計測のため, CDDP腔内投与後, 単純子宮全摘術を行つた. 1.異形成の7例では, CDDP腔内投与1〜2日目より異型細胞の変性が見られ, 投与終了後には異型細胞は全例消失した. 2. 上皮内癌の3例は摘出標本の子宮頚部16分割組織検査で, 癌細胞は完全に消失していた. 3. 微小浸潤癌の2例中1例は腫瘍細胞は消失したが, 1例は摘出標本の一部に腫瘍細胞の残存が認められた. 4. 組織内Pt濃度計測では, 子宮体部, 卵巣, 卵管及び総腸骨リンパ節に比較すると, 子宮頚部, 膣が特異的に高値であつた. 5. CDDP膣内投与期間中の血漿中総Pt濃度は, ほとんどが測定限界値 (<0.10μg/ml)以下であつた. 6. 副作用は全身, 局所とも皆無であつた. 以上の結果から, CDDP膣内投与法は子宮頚部初期病変に対し, 微小浸潤癌の1例を除き, きわめて有効な局所療法であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-02-01
著者
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佐藤 博久
国家公務員共済組合連合会立川病院
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遠藤 芳広
立川共済病院
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佐藤 博久
立川共済病院産婦人科
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佐藤 博久
立川病院産婦人科
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山口 光哉
立川共済病院産婦人科
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大山 俊雄
立川病院産婦人科
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中山 一武
立川共済病院産婦人科
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佐野 陽子
立川共済病院産婦人科
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大山 俊雄
立川共済病院産婦人科
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遠藤 芳広
立川共済病院産婦人科
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山口 光哉
立川病院(共済)
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