子宮卵管造影法で見た子宮腔形態と月経異常の関連性に関する検討

概要

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子宮の形態が月経異常と関連しているか否かを検討するために,825例の挙児希望患者をHSG上の子宮腔形態で分類し,稀発月経・無月経の頻度,妊娠率,分娩率等を求めて,以下の結果を得た.1.内腔の大きさを大(7.3%),正常(87.2%),小(5.5%)の3群に分けると,月経異常の頻度は大群16.4%,正常群35.0%,小群34.1%であり,大群で正常群に比し低頻度であった(p<0.01).妊娠率は各群間で差はなく,分娩例数の対妊娠例数比は小群で正常群に比し小であった(p<0.02).2.内腔の形を正常(68.6%),T字型(9.7%),弓状(19.2%),その他(2.5%)の4群に分けると,月経異常の頻度は正常31.4%,T字型37.3%,弓状39.2%,その他42.1%であったが,各群間に有意差はなかった.妊娠率,分娩率にも各群間に有意差は認められなかったが,その他の群で分娩例はいずれも子宮彩武術術後であった.3.内腔奇形の客観的尺度として,子宮底部陥凹指数Fundal Depression Index(FDI)を定め,軽度なものから0群(55.4%),1〜10群(22.0%),11〜20群(18.2%),21〜30群(3.1%),31以上群(1.3%)の5群に分けると,月経異常の頻度は順に29.8%,32.9%.42.7%,45.5%,22.2%となり,FDI 11〜20群で0群に比し有意に高頻度であった(p<0.02).4.内腔の大きさで分けた大,正常,小の各群ごとに,おのおのFDIと月経異常の頻度との関係を検討すると,正常群でFDI 11〜20群と0群間に有意差が認められた(p<0.002).大群,小群はそれぞれ症例数が少なかったが,FDI 11〜20群の月経異常の頻度は0群のそれをいずれも上まわっており,3の結果は内腔の大きさとは無関係であると思われた.以上の結果から,子宮腔奇形の一客観的尺度であるFDIを指標とすると,子宮腔奇形と稀発月経・無月経の間に関連性が示唆されたが,同時に調査した妊娠率,分娩率の結果から,この関連が臨床的に大きい意義を有するとは言えない.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-07-01

子宮卵管造影法で見た子宮腔形態と月経異常の関連性に関する検討

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