本邦における両側卵巣摘出婦人の骨代謝および脂質代謝の経時的変化とエストロゲン補充療法の効果
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概要
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本邦の両側卵巣摘出(OVX)婦人における骨および脂質代謝の推移とエストロゲン(E)補充療法の効果について検討した. 対象は術前に正常月経周期を有していたOVX婦人92例(平均41.6歳), および未閉経婦人20例(平均42.1歳)で, 全例にDEXA法による腰椎骨骨密度(BMD; g/cm^2)測定, 血清Ca, リン(P), Al-P活性, 総コレステロール(T-C), HDLコレステロール(HDL-C), LDLコレステロール(LDL-C)値を3カ月ごとに測定し検討を加えた. OVX後2年間のBMDは1.01±0.12で対象群の1.02±0.10に比し有意差を認めなかつたが, OVX後2年以上5年未満経過した群では0.83±0.08と有意に減少しており(p<0.01), さらに10年以上経過した群では0.69±0.11まで減少していた(p<0/001). 血清Ca, PはOVX後2年間は有意に上昇し, Al-P活性は, OVX後2年から10年までの間高値を保つていた. OVX婦人をE投与群(プレマリン^<(R)>0.625mg, 連日投与), VD_3投与群(ワンアルファ^<(R)%gt;0.5μg, 連日投与), 未治療群の3群に分けBMDを1年間追跡した. 未治療群では年間2%の減少を示したのに対し, E投与群では年間3%の増加が認められた. またVD_3投与群ではBMDの減少は抑制されていた. 血中脂質量はOVX後の期間と相関を示しておりOVX後10年でOVX前に比しT-Cは平均246.5mg/dl(p<0.05), LDL-Cは平均159.4mg/dl(p<0.05)と上昇していた. HDL-Cは平均52.8mg/dlと減少していた. OVX後平均年数5.3年(平均46.7歳)の婦人に, プレマリン^<(R)> 0.625mgを15カ月間投与した結果, HDL-Cは110%に増加しており, LDL-Cは150mg/dl以上の群で投与前値の75%に低下していた. OVX後早期より始まる骨形成のuncouplingおよび脂質代謝異常に対して, E補充療法は有効であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-01-01
著者
-
横山 幹文
日本産科婦人科学会中国四国合同地方部会
-
中野 仁雄
九州大学医学医学研究科生殖病態生理学
-
野崎 雅裕
九州大学医学部付属病院産科婦人科
-
野崎 雅裕
九州大
-
野崎 雅裕
宮崎県立宮崎病院 産婦人科
-
野崎 雅裕
浜の町病院(共済)
-
橋本 和法
九州大
-
橋本 和法
九州大学医学部附属病院 産科婦人科
-
緒方 りか
九州大
-
佐野 正敏
九州大
-
井村 睦規
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
佐野 正敏
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
澄井 敬成
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
緒方 りか
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
結城 裕之
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
横山 幹文
九州大学医学部婦人科学産科学教室
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