ヒト羊水および胎盤中の抗ウイルス活性

概要

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概要妊娠16週から42週までの正常妊婦より得た羊水、および妊娠7週から41週までの正常妊娠および異常妊娠例より得られた胎盤における抗ウイルス活性を検討した。このうち84%(21/25)の羊水に3〜24IU/mlのインターフェロン様抗ウイルス活性を認めた。この活性は酸処理(pH 2。0、24時間)および熱処理(56℃、30分)に対しては安定であり、抗ヒトインターフェロンαによつて中和されることにより、インターフェロンαと考えられた。この活性と週数、経産回数、年齢などとは何らかの相関は認められなかつた。また7週〜41週までの妊婦から得られた胎盤中にも92%(23/25)の例で、インターフェロン様抗ウイルス活性を認めた(4〜32IU/10mg、protein/ml)。この胎盤中の抗ウイルス活性は抗ヒトインターフェロンα中和抗血清および抗ヒトインターフェロンβ中和抗血清にて中和されず、酸処理(pH 2。0、24時間)、熱処理(56℃、30分)に安定なことから通常のインターフェロンとは性質を異にする抗ウイルス物質と考えられた。この胎盤中の抗ウイルス活性は中枢神経系奇形合併胎児の胎盤では高く、IUGR妊娠例の胎盤では低かつた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-09-01