授精前培養卵子を用いた配偶子卵管内移植法 (New GIFT法) の開発とその臨床成績の検討
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概要
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少なくとも一側の卵管が開存している不妊症の新しい治療法として, 授精前培養後の卵子を用いた配偶子卵管内移植 (New GIFT) を開発し臨床に応用した。114例の臨床成績を分析し, 妊娠の成立に影響を与える因子について検討した。1. 妊娠率は対周期あたり37% (42/114), 対患者あたり42% (42/100), 流産率は19% (8/42) であり, 卵子の授精前培養を行わない場合より良好な成績を示した。2. 精子性状の中で妊娠率を左右する最も重要な因子は精子運動率, とくに媒精時の精子運動率であり, 精子運動率が高くなるに従い, 妊娠率も上昇した。精子数は高度の乏精子症を除き, 妊娠率に影響を与えなかった。3. 卵子性状の中で妊娠の有無を左右する重要な因子は成熟した卵子の数であり, 妊娠群の方が非妊娠群に比べ高値を示した。しかし妊娠群の総卵胞数 (総卵子数) は3〜7個に集中しており, 11個以上の症例では妊娠は認められなかった。これらの結果より, 卵子の数が多くなるに従い妊娠率は高くなるのではなく, 至適卵子数 (至適卵胞数) の存在が推測された。移植前の卵丘細胞の付着状態は妊娠の成立の有無と高率に相関した。すなわち, 放射冠以外の卵丘細胞がすべて外れた状態の卵子をC (-), 全く卵丘細胞が外れていない状態の卵子をC (+) とすると, C (-) が2個以上あれば妊娠率は約6割となり, 逆にC (-) が0で, C (+) のみの場合は妊娠率は1割以下となることが判った。4. Luteal supportとしては黄体・卵胞混合ホルモン (プラノバール) の投与が一番良好な成績を示した。黄体ホルモン単独の投与では流産率が高値であった。
- 1988-12-01
著者
-
長沢 敢
越谷市立病院
-
山本 勉
越谷市立病院
-
田中 温
越谷市立病院臨床検査科
-
戸枝 通保
越谷市立病院産婦人科
-
中潟 直己
熊本大・動物資源開発センター(card)
-
中潟 直己
熊本大学発生医学研究センター
-
戸枝 通保
宮崎医科大学
-
田中 温
越谷市立病院産婦人科
-
田中 温
セントマザークリンック
-
中潟 直己
熊本大学生命資源研究・支援センター資源開発分野
-
中潟 直己
順天堂大学医学部共同病理研究室
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