子宮頚部腺癌および体癌における血中CA125, CA19-9値の変動と腫瘍マーカーとしての臨床的有用性の検討
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概要
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子宮腺癌 (頚部腺癌および体部内膜癌) の初回治療例および再発例計29例を血中CA125, CA19-9, CEA, Ferritin, TPA, IAP および LDH値を測定して追跡し, 本症の腫瘍マーカーとしての CA125 と CA19-9 の臨床的有用性を検討した. また正常頚管, 内膜および腺癌の各組織で CA125, CA19-9 の存在を免疫組織学的に検討した. 1. 血中CA125およびCA19-9は初回治療例では27%の症例で (とくに進行例では高率に) 高値を示し術後は急速に正常化し, また化学療法の効果に対応して低下し tumor mass reductionを良く反映していた. 2. 免疫組織学的には, 術前血中 CA125又は CA19-9が高値を示した腺癌組織では CA125又は CA19-9が陽性を示し, 一方正常頚管腺と正常内膜腺ではCA125のみが認められ, CA19-9は認められなかつた. 3. 再発例では血中CA125は71%, CA19-9は86%の例で高値を示し, しかも再発の早期に他のマーカーに先行して上昇していた. 4. 血中CEA, Ferritin, TPA, IAPおよびLDHは初回治療例では高値を示す率が少なく, 手術, 化学療法等の臨床経過を反映していなかつた. また再発例では CA125および CA19-9に遅れ, 再発末期になつて初めて軽度の上昇が認められた. 頚部腺癌および体癌-とくに予後不良が予測され, 化学療法と治療経過の追跡が重要であるところの進行例や再発例-では, 初回治療前又は再発の早期に血中CA125およびCA19-9が高値を示すことが多く, さらに手術, 化学療法, 再発等の臨床経過を良く反映して変動しており, 両者は子宮腺癌の follow up上有用なマーカーであると思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-11-01
著者
-
清水 卓
清水産婦人科
-
井上 欣也
北野病院産婦人科
-
余村 和歌子
北野病院産婦人科
-
藤原 敏郎
北野病院産婦人科
-
川口 周利
北野病院
-
清水 卓
北野病院産婦人科
-
余村 和歌子
北野病院
-
藤原 敏郎
武田病院
-
伊原 由幸
北野病院産婦人科
-
川口 周利
北野病院産婦人科
-
伊原 由幸
神戸市立中央市民病院産婦人科
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