ヒト臍帯ワルトン膠様質におけるヒアルロン酸の局在様式に関する電顕組織化学的研究

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正期産正常分娩により得られた臍帯の中央部を材料として, ヒト臍帯のワルトン膠様質におけるヒアルロン酸の局在様式を電顕組織化学的に検討した。ルテニウムレッド染色陽性物質は, 線維芽細胞の細胞質内において直径約30nmの顆粒構造を呈した。線維芽細胞周囲においては, 同細胞膜表面を覆う網状構造を呈する場合と, 基底膜類似構造の内部で直径約13nmの顆粒構造として存在した。また, 細胞外基質である膠原線維周囲においては, 膠原線維に付着する顆粒状あるいは不定型構造を呈した。これらのルテニウムレッド染色陽性構造のうち, アミラーゼ酵素消化処理で線維芽細胞の細胞質内の顆粒構造のみが消化され, その他の構造は放線菌ヒアルロニダーゼ酵素消化処理により消化された。以上から, ヒト臍帯ワルトン膠様質におけるヒアルロン酸の局在は, 線維芽細胞周囲では細胞膜表面に接して網状構造を呈するか, あるいは同細胞周囲の基底膜類似構造中で顆粒構造として存在し, また, 膠原線維に付着して顆粒状あるいは不定型構造を呈して存在することがわかった。これらの結果より, ヒト臍帯ワルトン膠様質内のヒアルロン酸は, 線維芽細胞周囲および膠原線維周囲で水和ゲルを形成し, 臍帯ワルトン膠様質の高い保水性の一因となっている可能性が高いと推定された。この特徴的な構造が, 胎動による臍帯圧迫など胎内で臍帯に加わる外的圧力に対抗し, 臍帯血管を保護する, 弾力保持性の一因と推定された。
1996-07-01

ヒト臍帯ワルトン膠様質におけるヒアルロン酸の局在様式に関する電顕組織化学的研究

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