子宮内膜癌細胞株におけるPhorbol esterのtissue-type plasminogen activator (t-PA)分泌に与える影響

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正常子宮内膜及び子宮内膜癌細胞はPA活性を有していることが知られているが, その調節機序に関する報告は少ない。本研究では, 子宮内膜癌細胞株 (KLE細胞) を用いて, t-PA分泌の調節因子について検討した。Insulin, T_3, Hydrocortisone, 8-bromo-cAMP, Retinoic acid, PDGF, IGF-I, TNF-α, basic FGFはt-PA分泌に何らの影響を与えなかった。しかし, phorbol esterの中で最も強力な作用を有するPMAが著明にt-PAの分泌を促進したので詳細に検討した。PMAのt-PA分泌促進作用は容量依存的であり10^<-10>Mよりcontrolに対して有意差を示し, 10^<-8>Mで最大 (約6倍) となった。Time courseではPMA (10^<-8>M) 添加後, 3時間から有意の分泌促進作用を示し, 12時間後に最大となった。phorbol esterのなかでほかに生物活性を有する, PDDは10^<-8>Mより有意のt-PA分泌促進作用を示し, 10^<-7>Mで最大となった。その他の生物活性を有しないphorbol esterである4α-PDD, phorbol (10^<-9>〜10^<-7>M) はt-PA分泌に対して何らの作用を示さなかった。8-bromo-cAMP, cholera toxinは単独ではt-PA分泌に影響を与えなかったが, PMAとの同時添加によりPMAのt-PAの分泌促進作用を約2倍増強した。cycloheximide, Actinomycin DはPMAのt-PA分泌促進作用を完全に抑制した。PMAの72時間までの添加実験では, PMAはKLE細胞の形態, 増殖に影響を与えなかった。以上より, phorbol esterが, 子宮内膜癌細胞においてt-PA分泌を促進し, その作用はRNA及び蛋白合成を介していることが示唆された。また, KLE細胞においてはphorbol ester-protein kinase C系とcAMP-protein kinase A系の細胞内情報伝達系には複雑な相互作用が存在すると考えられた。よって, KLE細胞は子宮内膜細胞におけるPA systemを解明するための有用なモデルとなりうると考えられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-02-01

子宮内膜癌細胞株におけるPhorbol esterのtissue-type plasminogen activator (t-PA)分泌に与える影響

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