子宮頚部腺癌の臨床病理学的検討 : 扁平上皮癌との比較
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概要
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近年増加傾向にある子宮頚部腺癌の臨床病理学的検討を行った. 対象は1970年から1987年までの18年間に教室で治療を行った子宮頚部腺癌102例で, 対照として,ほぼ同期間の頚部扁平上皮癌を用いた. 1)腺癌は増加しており, 最近5年間では腺・扁平上皮癌混合型を合わせると, 全子宮頚癌の約1割を占めるまでになっている. 2)腺癌では, 扁平上皮癌に比べ, 臨床進行期I〜II期の比較的早期癌が多かった(p<0.05). 3)リンパ節転移率はIb期で16.1%(5/31), II期で26.2%(11/42)であった. 扁平上皮癌との比較では, 転移率に有意差はみられなかった. 4)5年生存率は, I期83.3%(25/30), II期58.1%(18/31), III期(0/4), IV期(2/5), 全体で64.3%(45/70)であった. 一方, 扁平上皮癌のそれは, I期93.5%(448/479), II期79.3%(399/503), III期49.8%(133/267), IV期20.0%(5/25), 全体で77.3%(985/1,274)とI, II期, および全体で, 腺癌の方が扁平上皮癌より予後不良であった(p<0.05). 5)臨床進行期Ib, II期で広汎全摘術が行われた症例について, 癌の組織学的広がりからその予後を検討した結果, 病変が子宮頚部に限局していた例における5年生存率は, 腺癌と扁平上皮癌の間で有意差を認めなかった. 一方, 子宮頚部外へ浸潤がみられ, 術後照射が必要であったものの予後は, 腺癌の方が扁平上皮癌より明らかに不良であった. このことは, 腺癌が扁平上皮癌に比し放射線感受性が低いことを示唆するものであり, それが腺癌の予後不良の一因をなすものと推定された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-03-01
著者
-
林 裕治
岡山赤十字病院
-
関場 香
岡山大
-
奥田 博之
腫瘍登録中央化後の登録円滑化,情報活性化に関する小委員会
-
関場 香
岡山大学医学部産科婦人科学教室
-
関場 香
岡山大学医学部産科婦人科
-
奥田 博之
岡山大保健学科
-
奥田 博之
岡山大学医学部保健学科
-
中桐 善康
岡山大学産婦人科
-
中桐 善康
岡山大学医学部附属病院三朝分院 放射線
-
吉田 京介
岡山大学医学部産婦人科教室
-
林 裕治
岡山大学医学部産婦人科教室
-
奥田 博之
腫瘍登録中央化後の登録円滑化 情報活性化に関する小委員会
-
奥田 博之
岡山大学医学部三朝分院
-
中桐 善康
岡山大学医学部附属病院三朝分院
-
関場 香
岡山大学医学部産婦人科学教室
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