PSK併用による子宮頚癌放射線照射効果増強作用について : 特に落射型螢光顕微測光法による核DNA変化の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮頚癌放射線療法例34例を対象として, PSK併用の有無による照射効果の違いを, 1) 落射型螢光顕微測光法を用いた核DNA量の測定によるcell kineticsの経時的変化および, 2) 大星・下里分類による病理組織像を主体としこれにcolposcope像を加味して判定した臨床的照射効果の変化の両面から検討した. 対象34例をPSK非投与13例(非投与群), PSK投与21例(投与群 ; 3g群 : 12例, 6g群 : 9例)の2群に分け, 30Gy照射時の臨床的照射効果を判定した. その結果, 良好例は, 非投与群10/13(77%), 投与群19/21 (90%)であつた. さらに, これら良好例29例につき検討し, 以下の結果を得た. (1) 20Gy照射時点で大星・下里分類IIb以上を示した症例は, 非投与群2/10 (20%), 投与群10/19(52.6%)であり, 投与群で早期に良好な照射効果がもたらされ, しかも, この効果はPSK dose dependentであつた. (2) 投与群では,ー般に放射線少量分割照射によく認められる巨核細胞の出現が少なく, 腫瘍の融解壊死の傾向が早期にもたらされた. (3) cell kineticsの面からは, 投与群では非投与群に比し, Over 4C Cell (hypertetraploid cell) populationの増加が14Gy以後鈍り, 20Gyの時点では有意に低率であつた. さらに, このOver 4C Cellの出現率を投与群間で比較すると6g群の方がより低率であつた. これらのことより, 放射線にPSKを併用することにより, 腫瘍のradiosensitivityが高まり, 比較的少ない線量の段階から癌細胞はlethalなdamageを受ける結果, Endomitosisによる巨核細胞つまりOver 4C Cellの形成が減少した可能性が示唆された. しかも, この変化はPSK dose dependentであると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-02-01
著者
関連論文
- P2-428 術中操作及び術後管理に苦慮した癒着胎盤の1例(Group96 胎盤1,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 7 子宮頸癌術前昇圧CDDP動注化学療法における臨床病理学的検討 : 一次効果について
- 47 子宮頸癌広汎全摘例に対するAngiotensin II昇圧併用のCDDP術前動注化学療法
- 子宮頚部・内頚部型腺癌と類内膜腺癌の臨床的検討
- 子宮頚部腺癌の臨床病理学的検討 : 扁平上皮癌との比較
- 46 子宮頸部腺癌の化学療法について : 広汎子宮全摘術例の検討
- 46 子宮頸部腺癌の臨床病理学的検討 : 過去18年間136例について
- 43 子宮頸癌FIGO新分類IA2期の取扱いについて : 浸潤の深さ3〜5mmの扁平上皮癌例について
- 18 子宮頸癌I期における病巣の広がりとFIGO分類IA2期に対応する術式の実態について
- 432. 子宮頸部腺癌の組織学的拡がりと核DNAパターンの関連
- 349 子宮頸癌放射線治療におけるPSK併用の照射効果増強作用 : 特に投与量からの検討
- 282. 子宮頚癌放射線治療におけるPSK併用の照射効果増強作用の機序について : 第49群 妊娠・分娩・産褥 IV
- 子宮癌手術例における輸血後肝炎の検討
- P2-153 胎盤ポリープの4例UAEとTCRの組み合わせの有効性(Group52 妊娠分娩産褥7,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P4-256 診断に苦慮し,急激な進行を示した腟原発悪性リンパ腫の1例(Group123 その他の良性・悪性腫瘍5,一般演題,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-106 先天性無フィブリノゲン血症患者の妊娠分娩の一例(Group13 合併症妊娠1,一般演題,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)
- PSK併用による子宮頚癌放射線照射効果増強作用について : 特に落射型螢光顕微測光法による核DNA変化の解析
- 60. 円錐切除における適切な切除範囲の検討 : 第11群 診断・検査 I (60〜65)
- 151.放射線治療に伴う子宮頚癌のCell Kinetics : 特に落射型螢光顕微測光法による核DNA変化の分析 : 第26群 悪性腫瘍 VI (151〜155)
- P2-9-6 食道アカラシア合併妊娠の1例(Group81 合併症妊娠(症例)1,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-10-3 8年後に大量出血を契機に再発と判明した卵巣原発腺肉腫の1例(Group66 卵巣腫瘍・症例3,一般演題)