神奈川県における絨毛性疾患発生状況 : 出生数との対比および年齢階層からの検討

概要

論文の詳細を見る
昭和53年1月から昭和59年12月までの7年間に, 神奈川県で発生した絨毛性疾患2,135例 (全胞状奇胎1,108例, 部分胞状奇胎795例, 侵入奇胎50例, 絨毛癌45例および存続絨毛症137例) の出生数対比を算出し, 絨毛性疾患登録を実施している16地域 (以下全国とす) と比較検討し, 次の結果をえた。1. 本県における絨毛性疾患の出生数対比は調査期間中ほぼ一定で, 全国とくらべ有意差はなかった。1,000出生数対比は, 全絨毛性疾患3.22, 全胞状奇胎1.67, 部分胞状奇胎1.20, 侵入奇胎0.07, 絨毛癌0.06, 存続絨毛症0.20であった。2. 本県では全国にくらべ, 全胞状奇胎が少なく, 部分胞状奇胎が多い傾向がみられたが, 全国も年を追って本県の比率に接近してきた。また, 侵入奇胎と絨毛癌は少なく, 存続絨毛症が多い傾向がみられた。3. 侵入奇胎+絨毛癌+存続絨毛症の出生数対比は, 西日本に高く, 東および北日本に低い傾向がみられ, 本県は中間に位置した。4. 絨毛性疾患の5歳階層別の出生数対比発生率は30〜34歳でもっとも低く, 若年および高年で上昇がみられた。5. 胞状奇胎の出生数対比発生率のパターンは全胞状奇胎, 部分胞状奇胎とも絨毛性疾患と同様な傾向がみられた。侵入奇胎も絨毛癌も年齢階層が高くなるにつれて急激な上昇を示した。6. 本県における出産時年齢と全胞状奇胎の年齢分布を比較すると, 両者とも25〜29歳にピークを示すものの, 全胞状奇胎では40歳以上にとくに高い分布がみられた。部分胞状奇胎でも同様な傾向がみられたが, 全胞状奇胎におけるほど著明ではなかった。侵入奇胎と絨毛癌ではともに30〜34歳, 45〜49歳にピークをもつ二峰性の分布がみられ, 存続絨毛症では35〜39歳までは全胞状奇胎と類似し, 40歳以後においては絨毛癌と胞状奇胎の中間の分布を示した。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-01-01

神奈川県における絨毛性疾患発生状況 : 出生数との対比および年齢階層からの検討

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク