J. A. ヒラーの『装飾歌唱法』について
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概要
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本稿は, ドイツのジングシュピールの創始者,∫.A.ヒラー(1728-1804)の歌唱教育書『装飾歌唱法(Anweisungzum musikalisch-zierlichenGesange)』(1780)を取り上げ,彼の歌唱教育の実際と,18世紀後半の音楽美学や演奏習慣を明らかにするものである。ここでは主に,序文における執筆意図, 3つの演奏様式,歌詞と音楽の関係,装飾の実際について検討する。その結果,ヒラーには室内様式の華麗化や教会音楽の世俗化を容認する新しい様式観や, ドイツプロテスタントの復興を目ざした合唱音楽-の強い関心と女声の活用など新しい変化が見られる。本書には,P.F.トージやJ.F.アグリコーラによる18世紀の伝統的歌唱法の成果と,19世紀に向けて新しい方向を模索する傾向が入り混じる,過渡的な特徴が認められる。
- 弘前大学の論文
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