C.バーニーのイタリア音楽紀行
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イギリスの音楽史家,Cノヤーニーの『ヨーロッパ音楽紀行』は,主著である『音楽通史』執筆の資料収集を目的に企てた大陸旅行の見聞録である。本稿では,この旅行記に基づき,彼が見聞した教会,劇場,私的コンサートにおける音楽活動の実態と,その他,大道の音楽,楽器,楽譜について,主にイタリアを中心に検討する。まず,イタリアの教会音楽では,世俗化の著しい祝日の音楽と,平日の素朴で古風な聖歌との対照が指摘される。オペラ劇場では,貴族と一般市民からなる聴衆,音楽家の生活支援のための劇場コンサートが,また,私的コンサートでは,教養豊かなディレッタントによる良質のコンサート(アッカデーミア)の様子が言及される。バロックの教会,劇場,室内という音楽様式の3つの区分はあいまい化し,相互の融合,類似化が窺える。その他,野趣に富む大道の民謡,後年,『音楽通史』に結実する楽器や楽譜の資料収集に関する記述がある。
- 弘前大学の論文
著者
関連論文
- 欧米の伝承歌遊び
- 古楽愛好家,J.ホーキンズ
- グルック=ピッチンニ論争について
- 18世紀イギリスの古楽復興
- G.ゲイの《乞食オペラ》について
- J.ホーキンズとC.バーニーの二つ『音楽通史』の比較研究
- 明治期の和徳小学校の唱歌教育
- 民俗区芸能の教材化と実践の諸問題
- 日本の音楽教育に於ける身体表現のあり方 : 明治期の唱歌遊戯を中心として,舞踊と音楽の関係についての理論
- 地方に於ける洋楽の普及 : 明治期の弘前市における唱歌教育
- ヴァイオリン奏法の確立と展開 : 18世紀のヴァイオリン指導者と現代音楽(20世紀音楽)に関して
- C.バーニーの『ヘンデル略伝』
- J. A. ヒラーの『装飾歌唱法』について
- C.バーニーの『音楽通史』について
- L.モーツァルトの『ヴァイオリン奏法』について
- C.バーニーのドイツ音楽紀行
- C.バーニーのイタリア音楽紀行
- C.バーニーの音楽教育
- C.バーニーの翻訳オペラ『知恵者The Cunning Man』について
- B.Marcelloの 『当世風劇場(Il Teatro alla Moda)』について
- 18世紀の歌唱芸術 : P.F.Tosi の『過去と現在の歌手についての見解』
- ラモーの和声理論とその展開