精神薄弱児の動機づけに関する研究 : 成功の期待に関する動機づけ仮説の実験的検討
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概要
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本研究の目的は,Ziglerらの提起した精薄児の成功の期待仮説について実験的に検討することであった。 第1実験段階(実験I)では,同一MA(7・8歳)の正常児48名と精薄児48名を対象にして,確率課題の問題解決過程に注目しながら成功の期待を比較・検討した。 結果は,正常児に比べて精薄児がmaximizationを示し,探索的反応の頻度を少なくさせた。これは,精薄児が正常児に比べてより低率の強化に満足するためであると考察された。 第II実験段階(実験II)では,実験Iと同じ被験児を対象にして,成功・失敗を実験的に実施し,それらの効果を確率課題の遂行過程から検討した。 結果は,実験操作の程度が強い場合,正常児および精薄児にそれらの効果が示された。精薄児・成功条件群は,統制・失敗条件群に比べて,より多くの探索的反応(パタン反応)を示し,正常児と同様な反応傾向であった。正常児・失敗条件群は,統制・成功条件群に比べて,部分強化刺激への選択反応をより多く示し,maximizationを採り,精薄児のそれと類似の反応様相であった。 以上の成功・失敗の確率課題の遂行に及ぼす効果に関する結果に基づいて,同一MAの正常児と精薄児の成功の期待に関する差異についての動機づけの効果の考察がなされた。
- 日本教育心理学会の論文
- 1979-06-30
著者
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