欽定訳聖書におけるBE ABLE TO (聖学院大学名誉学長 金井信一郎先生記念論文集)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この論文はthe Authorized Version of the Bible(以下the AVと略記)(欽定訳聖書)におけるBE ABLE TOの意味・用法の特徴を考究することを通して、初期近代英語の特質の一部を明らかにすることを目的として書かれたものである。初期近代英語と現代英語との相違を見るために、the AVとthe New English Bible(以下the NEBと略記)とを比較検討した。BE ABLE TOは一般にCANの補完形として使われるが、the AVには独自の用法と考えられる例も見出される。主な特徴は以下の通りである。(1)BE ABLE TOの機能については、the AVとthe NEBとの間には大きな相違は見られなかったが、単純現在形と単純過去形とを合わせた用例の割合はthe NEBよりもthe AVのほうがはるかに高い。(2)CANがBE ABLE TOよりも多く使われているという点ではthe AVとthe NEBとの間に相違はないが、その割合には極端な違いがある。(3)the AVにおいては、BE ABLE TOが`have the divine power'という意味で使われる場合が多く、とくに単純現在形では顕著である。(4)CAN BE ABLE TOはthe AVの時代には類語反復的(tautological)ではなく、それぞれに独自の意味機能が存在していたことが推測される。否定形の出現が圧倒的に多いことは注目に値する。
- 1995-01-30
著者
関連論文
- ウィクリフ派聖書における接尾辞-able について (聖学院大学チャペル完成記念論文集)
- 欽定訳聖書におけるBE ABLE TO (聖学院大学名誉学長 金井信一郎先生記念論文集)
- ウィクリフ派新約聖書におけるCan,MayおよびMustについて
- ウィクリフ派聖書におけるMay について
- 現代英語におけるBE ABLE TO について
- チョーサーにおけるCANとBE ABLE TOについての予備的研究
- 英語遊離数量詞研究の分析
- 欽定訳聖書についての疑問 (聖学院大学創立10周年記念論文集)
- シェイクスピアにおけるCANおよびBE ABLE TOについて
- CANの認識様態的意味について
- 'I Must Be Going'の意味