Citrus aurantium L.の葯培養による植物体の分化
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概要
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材料には`サワーオレンジ'と`ブーケードフルール',`カブス(臭燈)',潮州オ登'の4品種を用いた。 培地は MURASHIGE & SK00G(1962) の処方に,庶糖50g/lを加えたものに,KinetinとIAAを種々の濃度で添加したものを用いた。培養は28℃,はじめ暗黒下で行った。 置床後14週目頃から`サワーオレンジ'と'潮州燈'の葯から胚様体がカルスを経ずに直接突出してくるのが認められるようになった。`サワーオレンジ'で葯の発育段階を調べたところ,1核後期の花粉を含む葯から胚様体が分化し,他の発育段階の葯からは分化しなかった。培地の種類では0.02mg/lのKinetinを含む培地が効果的であった。また,Kinetinの濃度が比較的低い場合には,IAAの濃度がいくらか高くても胚様体は分化したが,Kinetinの濃度が高い場合には,IAAの濃度は低い方が効果的であるように思われた。 また,置床後の葯内の花粉粒の変化を観察した結果,生殖核及び栄養核の分裂や多核花粉粒は認められたが,胚様体は認められたかった。 分化した胚横体は,16時間照明8時間暗黒の条件下に移し,その緑化と生長を図った。その結果,あるものは芽を分化したが,あるものはそれでも次カに,おもに胚軸部分から胚様体を分化した。緑化した胚様体は植物生長調節物質を除いた培地に植えかえて,芽及び根の分化生長を図った。 根を分化した植物体の根端で染色体数を調査したところ,得られた植物体は2倍体であることを示した。これらの植物体は,分化の過程のどこかで倍加したものと考えられるが,さらに検討を要する。
- 日本育種学会の論文
- 1982-09-01
著者
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