カンキツの葯培養における培地のpH及び糖,培養温度の影響
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概要
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材料には,カラタチとサワーオレンジ,`トロビタ'オレンジのそれぞれ1本の木から採取した,1核期前後の花粉を含む若い葯を用いた。 基本培地には MURASHIGE & SK00G(1962)の培地を使用し,カラタチには kinetin 0.02mg/l,IAA 0.2mg/l,サワーオレンジにはそれぞれ0.02mg/l,`トロビタ'オレンジには kinetin0.02mg/l,IAA0.2mg/lを加えたものを用いた。また,特に必要のない限り,庶糖50g/lを添加し,PHは5.8に調整した。寒天はpH4のものには2%,それ以外には0.8%加えた。培養は,特に必要のない限り,28℃,暗黒下で行った。 3ヶ月後調査したところ,3種ともPH5及び6の培地で最も良く胚様体が分化した。カルスでも同様な傾向が認められた。 蕉糖濃度には,3種ともそれぞれ異なる反応を示した。すなわち,カラタチは30g/lが最も良く,サワーオレンジは70及び90g/lという比較的高い濃度で良く胚様体を分化したが,`トロビタ'オレンジは反対に10及び30g/lという比較的低い濃度が適していた。しかしカルスは3種とも高濃度の培地で良く形成された。 培養温度でも3種は異なる反応を示した。カラタチは28℃で最も良く,サワーオレンジは24及び28℃で良く胚様体を分化したが,主トロピタ'オレンジは24℃で特に良く胚様体を分化した。 以上のように,カンキツの葯培養の条件は,種類によってかなり異なることが明らかになった。
- 日本育種学会の論文
- 1984-12-01
著者
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