オオムギの気孔数について: V.気孔の大きさと蒸散速度および光合成速度との関係
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概要
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気孔の大きさと蒸散速度,光合成速度の関係を検討した。またBROWNとESCOMBE(1900)による拡散式を使って気孔の大きさと単位面積当たり気孔の数の値から気孔抵抗の値を計算で求め,この値と蒸散速度の実測値から求めた気孔抵抗の値とを比較した。気孔数の多い葉身の気孔は必ずしも小さくはなかった(Table3).大きな気孔は小さな気孔よりも気孔一つ当たりの蒸散速度が大きく(Fig.1),かつ大きな気孔は炭酸ガスを多く取り込み(Table3,4),気孔の大きさも気孔の数と同様に気孔抵抗を規制する要因であることが明らかになった。従って大きな気孔を持つ個体を選一抜して光合成能力の高い個体を選抜できるが,単位面積当たりの蒸散速度や光合成速度は気孔の大きさによって受ける影響より気孔の数によって受ける影響の方が大きく(Table3,Table4),光合成能力の高い個体の選抜には気孔数による選抜の方が有利であると推察された。気孔を通ってのガス拡散は次の式で表わされる。[numerical formula]ここで,Q:単位面積当たり拡散速度,？p:ガス濃度差,D:拡散定数,n:単位面積当たり気孔数,l:気孔の深さ,r:気孔の半径(気孔を円形と仮定して),I:気孔相互間の干渉による抵抗,r_a:大気中での拡散抵抗である。
- 日本育種学会の論文
- 1978-06-01
著者
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