ガンマー線照射によって生じたてん菜の細胞質雄性不稔性に関する遺伝学的研究

概要

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てん菜の2種の正常型(N)細胞質系統H-19及びH-2002の種子にガンマー線照射を行い,誘発された細胞質雄性不稔(KINOSHITAandTAKAHASHI1969)に関する遺伝様式を検討した。まず,雄性不稔性がM_4代まで母系を通して高頻度で伝達される事を確かめた。次に,5種のγ-系統におけるM_2代の完全不稔型個体を雌性親に用いて,それぞれにW細胞質系統W162-6,H-2002またはH-19のいずれかを交配した。F_1の花粉稔性回復個体間で相互交配を行い,F_2における雄性不穏各型の分離を調べた結果,各交雑組合せのF_2を通じて,2種の花粉稔性回復遺伝子が不稔細胞質と相互作用を有する事が明らかとたった。しかし,S細胞質において認められるようなMF(N+S.S.a):S.S.b:C.S=9:6:1なる分離比を示す組合せはγ-114:775×H-19:1 F_2のみであった。γ-20及びγ-60を用いた交雑では2対の花粉稔性回復.遺伝子の内,一方の劣性対立遺伝子が他方の優性対立遺伝子に対して上位性を示し,F_2分離比はMF:S.S.b:C.S.=9:3:4となった。また,γ-130及びγ-165を含む交雑では,2遺伝子の内,一方の優性対立遺侯子が他方の劣性対立遺伝子に対して上位に働き,F_2分離比はMF:S.S.b:C.S.=12:3:1となった。
日本育種学会の論文
1976-09-01