イタリアンライグラスにおける変異と選抜に関する研究 : II.出穂の変異
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概要
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イタリアンライグラス品種を,来歴によって日本の在来群,育成群および外国群に分け,出穂の品種群間および品種内変異を自然条件と処理(長日・加温)条件下で調査した。さらに選抜に対する反応を後代検定によって調査し,出穂の変異発現と潜在変異についての検討を行ない,次のような結果をえた。 1) 自然条件下での出穂調査では,長日になってから出穂する晩生品種ほど品種内変異が小さいという傾向があった。早生・晩生ともに日本の在来群・育成群の品種内変異は,外国群より小さかった。 2)出穂日の品種群間変異と品種内変異は,ともに長日により縮小され,加温により拡大された。加温処理では早生品種間に,品種内分散の有意差があり,在来品種が外国品種より欠きた変異を示した。 3) 自然条件および加温条件下で行なった選抜の結果では,各集団とも選抜方向に明らかな反応が認められ,出穂変異の多くは遺伝的であることを示した。選抜反応は加温区で大きく,また早生方向への反応が大きかった。 4) 出穂日と採種関連形質との相関関係を調べると,出穂日は,出穂から採種迄日数および千粒重と負の相関があり,早く出穂する個体は採種迄日数が長く,充実した種子をつけることが明らかになった。 5) これらの結果から,出穂の変異発現と環境条件,および在来品種の潜在変異について考察を行なった。イタリアンライグラスの生殖生長期における日本の自然条件は,ヨーロッパに比べて短日高温であり,変異発現は大きくなりやすい。早春の気温上昇が早い年次には早生または極早生の変異が発現し,それらが充実した種子をつけることにより生き残り,他の年には潜在的変異となっていくことが考えられる。これが在来品種に早生の潜在変異が多い一因であるとみられることを論じた。
- 日本育種学会の論文
- 1975-08-30
著者
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