イタリアンライグラスにおける変異と選抜に関する研究 : I.生草重・乾物重の変異
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概要
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イタリアンライグラス品種を来歴によって,日本の在来群,日本の育成群,および外国群に分け,生草重と乾物重の変異を調査した。品種群間変異および品種内変異を早生品種および晩生品種について検討し,さらに早生品種につては,各群の1品種ずつについて選抜に対する反応を調べ,次のようだ結果をえた。 1)早生品種では,条播条件でも個体植条件でも第1回の刈取において群間の差が大きかった。日本の育成群はこの時期すなわち秋から早春において最も多収であり,在来群がこれに次ぎ,外国群は最も低収であった。 2)晩生品種では,来歴による群間には全刈取期を通じて有意差がなかった。 3)個体植における品種内変異を変異係数でみると,3月の刈取では日本の育成群・在来群が外国群より低かったが,5月の刈取ではその差は認められなかった。5月では平均値の群間差も認められず,この時期には品種群間変異,品種内変異とも発現してこないとみられた。 4)3品種を用いて行なった高乾物重方向への選抜では,日本の在来品種と育成品種が大きな反応を示した。 5)これらの結果および日本の育成品種の大部分が在来品種を育種の素材に含んでいることから考えると,イタリアンライグラスの日本の在来品種は,表現型においては均一であっても,有用な潜在的遺伝変異をもっているとみられることについて考察を加えた。
- 1975-08-30
著者
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