循環選抜育種法における組合せ能力検定試験に要する個体数
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概要
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3つの異なるタイフの循環選抜育種法、すなわちJENKINS法、HULL法および相反循環選抜法(以下RRS法とよぶ)それぞれにおける組合せ能力検定試験に供試すべき最少個体数、ならびにその変動量/1サイクルを、いくつかの理論式およびその数値計算から推定した。なお理論式を導くに当っては、育種集団およびテスター集団内で任意交配が行われること、育種形質に関与する遺伝子座間に連鎖がないこと、ならびに各遺伝子座において最も望ましい遺伝子の頻度が等しいことを仮定した。結論は次の如くである。(1)育種集団から抽出すべき総個体数(N)、およびこれら各個体のテスター集団に対する組合せ能力を検定するために1個体当りに交配すべき個体数(N')は、それぞれ育種集団およびテスター集団における遺伝子頻度に著しく左右されるが、育種形質に関与する遺伝子座の数が増しても直感的に予想される程大きくはならない。NおよびN'と遺伝子座数との大体の関係は、それぞれ(17)および(18)式に示す如くである。(2)育種集団およびテスター集団の遺伝子頻度に関する情報がほとんど得られない場合には、NおよびN'はそれぞれ250個体および30個体くらいにすべきであると考えられる。JENKlNS法においては、育種集団から抽出した各個体の組合せ能力はそれぞれの個体に由来する自殖系統をテスター集団にトップクロスすることによって検定され、またHULL法においては遺伝的に均一な集団がテスター集団として用いられるのでN'に関しては問題はほとんどない。特に、RRS法において大きなN'が必要とされる場合には、育種集団から抽出した個体を除雄後テスター集団にトップクロスさせるという交配法が望ましいと考えられる。(3)JENKINS法およびHULL法においては、Nは毎サイクル少なくとも5%ずつ減らしてもよい(但し、10個体以下にはすべきでない)。一方、ごく一般的にいって、RRS法においてはNは約10サイクルまで減らさない方が安全であると考えられる。(4)JENKINS法およびHULL法においては当然であるが、N'はRRS法においても一定に保つ方が無難である。
- 日本育種学会の論文
- 1969-08-31
著者
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