バレイショの半数体に関する研究 : 第1報二基半数体の形態的特徴

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普通バレイショにおける遺伝構成の複雑性にかんがみその半数体の育種上にもつ意義は極めて大きいものがある。著者等は1958年 S.tuberosum(品種 Deodara)(2n=48)×S.rybinii(2n=24)のF_1個体群中から,前者の半数植物(2n=24)1個体を得た。その出現度は交配花数36に対して1に当り,実生数に対しては12.5%であつた。この個体の形態的特徴を知るために,原種との間に詳細な比較調査を試みた。その結果,他の植物にみられるように,植物体及びその各部組織器官に明らかな矮小化がみられたほか,つぎの諸形質においてもかなりの変化が認められた。即ち,花冠形がやや星状化する,花色がやや淡くなるとともに色素の分布が不規則になる,葯の発達が甚しく低下する,花瓣・葯・雌蕊に畸型が多い,複葉及び各小葉が著しく細長くなる,間葉数が減少する,茎の節間が短縮する,果形がやや細長くなる,塊茎の発達が著しく低下し,その形状が細長くなる等がそれである。これらの特性から, S.tuberosumが半数化によって近縁の二倍種にかなりの形態的接近を示すことが認められる。この点は本種の起源を究明し新品種を合成する上に有力な手がかりを与えるものである。更に形質指数による比較から,両者の形態は一般に質的特長におけるより量的特長において大きく相違していることが明らかにされた。この傾向は,二倍性近縁種とその人為四倍体との関係に似ているが,併しSの形態的相違の程度が更に大きい点及びそこにはみられない新規な形質変化がある点も認められた。その事実は S.tuberosumのもつ2組のゲノムが健全な相同ではなく,或る程度分化したものであることが示唆する。
日本育種学会の論文
1960-03-20

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