画像入力多層パーセプトロンによるダイズ草姿評価
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概要
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ダイズ育種における草姿選抜は,定性的評価に基づく経験的作業であり,不安定性や効率の悪さが指摘されている。これまで,草姿シルエットから多次元の形状特徴量を抽出し,線形判別関数で定量的に評価する手法などが提案され,良好な結果が得られたが,これらは対象作物が変わるたびに判別に有用な形状特徴量を探索する必要がある。そこで本論文では,多層パーセプトロン(MLP)を用い,特徴抽出なしに画像そのものを直接扱える汎用的な草姿評価モデルを検討した。MLPとは,単純な処理装置である素子を層状に結合したニューラルネットワークであり,パタン認識に有効とされる。育種家3人から三段階評価("良","並","悪")を得たダイズ草姿画像175品種・系統875個体分のうち,3人の評価が一致した326個体を供試した。姿の大きさ・向きを規格化した後,典型的な26個体を学習データ,残り300個体をモデル評価のためのテストデータとした。一つのネットワーク構造に対し,素子問で信号が強弱される度合いを表す結合係数の初期値を変えて100回学習し,収束後,正解率の分布を調べた。正解率とは,テストデータに対するMLPの出力と育種家評価との一致度である。層数,素子数,結合数の異なるMLP175種について実験を行った。"良"の個体の確実な選抜が重要であると考え,"良"と"良以外"とにテストデータを分類して正解率を求めた。正解率の平均のレンジはそれぞれ50-75%,75-85%であった。3層で入力素子数8×8,隠れ素子数16,出力素子数3のネットワークが正解率が高く安定で,最適であると判断した。このモデルは,これまでの研究に上ヒ較して正解率は高くないが,形状特徴量が必要ないという利点をもち,他の作物への応用が容易である。ただし,MLPは構造が複雑であり,現段階でこのモデルからは育種家の経験的判断の様式を理解できない。
- 日本育種学会の論文
- 1998-09-01
著者
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二宮 正士
中央農研
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二宮 正士
農業環境技術研究所
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二宮 正士
中央農業総合研究セ
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二宮 正士
農研機構中央農業総合研究センター
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二宮 正士
農研セ
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生出 真里
九州沖縄農試
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生出 真里
農業環境技術研究所
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Oide M
National Agriculture Res. Center Ibaraki Jpn
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