GISH法によるタバコ種間雑種(Nicotiana gossei Domin×N. tabacum L., N. rustica L., ×N. tabacum L.)での親由来染色体の識別
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概要
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Nicotiana gossei Domin (2n = 36)あるいは N. rustica L. (2n = 48) とN. tabacum L. (2n = 48)との間では高い交雑不親和性があり,通常の交雑で種間雑種を得ることが非常に困難である。胚珠培養によりN. gossei× N. tabacum で種間雑種を,交雑によりN. rustica×N. tabacumaの雑種を得た。これら種問雑種での親由来の染色体を識別するために,ゲノミックin situハイブリダイゼーション(GISH)を行った。プローブとして,ビオチン標識した N. rustica あるいは N. gossei の全ゲノムDNAを用い,非標識のN. tabacum の全ゲノムDNAによるブロッキング処理は行わなかった。N. rustrca×N. tabacum の雑種では,対比染色剤DAPIにより染色された48本の染色体(Fig. 1A)のうち,24本の染色体で,N. rustica の全ゲノムDNAとの強いハイブリダイゼーションシグナルを検出した(Fig.1B)。また,これら24本の染色体のうち,2本の染色体では,比較的弱いシグナルを示す部分がある(Fig.1C)ことから,N. rustica× N. tabacumとのゲノム間で,染色体の転座あるいは組み換えが起こっていることが示唆された。N. gossei× N. tabacumの雑種では,DAPIにより染色された42本の染色体のうち,18本の染色体の全長にわたって,N. gosseiの全ゲノムDNAとの均一なハイブリダイゼーションシグナルが認められた(Fig.2C)。また,フラグメント様染色体も観察された(Fig.3)。以上のように,遠縁交雑での種間雑種では,ブロッキングDNAを用いないGISHにより親由来染色体を明確に識別できることが明らかになった。
- 日本育種学会の論文
- 1997-03-01
著者
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