種内雑種の花粉部分不稔性からみたパキスタンのアワ在米品種の特徴
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概要
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パキスタンで収集したアワ(Setaria italica (L.)P.Beauv.)から16系統を選び,それらに雑種不稔性に基づくアワ地方晶種群の分類に用いた3系統のテスター(A,B,C)を交配した。雑種第一代(F_l)の花粉稔性には14.2%から94.7%に至る幅広い変異が見られた。それに対してパキスタン在来品種およびテスター系統の自殖個体はすべて正常な花粉稔性を示した。パキスタンの在来品種はF_1の花粉稔性に基づいて,既知の6型の地方品種群のうちC型(8系統),BC型(2系統)およびX型(6系統)と分類された。A型,B型あるいはAC型は見られなかった。C型はパンジャブ州,北西辺境州南部およびバルディスタン地方に見いだされた。X型は北西辺境州北部,ギルギット地区北部およびバルディスタン地方に分布していた。X型と分類された系統の中には複数の品種群が含まれている可能性が示唆された。それは北西辺境川のX型とバルディスタン地方のX型との雑種が高い不稔性を示したことで裏付けられた。パキスタン北部地域の中では異なった形態的特徴をもつ3種類の品種群が分類され,それぞれが特異的な地理的分布をもつことがすでに報告されているが,雑種の花粉不稔性によって分類された地方品種群はそれらとは対応しなかった。本研究の結果から,さまざまな遺伝的背景をもつアワがこの地域に導入され,その後形態的に異なった品種群に再構成されていった可能性が示唆された。
- 1997-03-01
著者
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