イネの低温枯死症状に関連する低温誘導性遺伝子のDNAクローニング
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イネは熱帯原産の作物であり,幼商を5℃の低温に当てると傷害を受け,枯死することが知られている.こσ)ような低温障害に関連する遺伝子を単離する日的で,播種後2週間目のイネ品種「はやゆき」の幼苗において5℃,24時間の低温処理によってRNAの蓄積が誘導される遺伝子の。DNAをサブトラクション法を用いて6個クローニングし,RC(responsivetocold)クローンと命名した. これらのDNAをプローブとして,5℃処理下におけるRNAの蓄積の絢時的変化を調べたところ,遺伝子の誘導は低温処理開始後3時間以内に起こっており,その後2日間低温処理を続けるとRNA量が増加したままのものと、徐々に減少していくものとがあった.5℃処理をした植物体を28℃に戻すと,6時間以内にこれらのRNA量は,5℃処理前の量に戻ることが明らかになった.また,RC42,RC104,RC114,RC235の4つの遺伝子は他のストレス処理(乾燥処理,ABA処理,NaCl処理)によっても誘導されたが,RC167とRC179では,他のストレスによる誘導は検出されなかった、これらのことから,イネ幼苗における低温による遺伝子の誘導には,乾燥ストレス,ABA処理,及び岨類ストレスに対する反応と共通する経路と,これらとは共通しない固有の経路とが存在することが示唆された 日本型,ジャワ型,インド型の合計22のイネ品種を用いて,幼植物の低温枯死症状とRC遺伝子の誘導との関係を調べたところ,RC167については低温枯死耐性の強い品種でRNAの蓄積が検出された(例外として,低温枯死耐性の弱いLocal SardrlおよびJamunaの2品種でもRNAの蓄積が検出された).逆にRC235については低温枯死耐性の弱い品種の方でRNAの蓄積が強く検出され,これら2つの遺伝子について,低温枯死耐性との関連が示唆された
- 日本育種学会の論文
- 1994-12-01
著者
関連論文
- RFLPマーカーによる水稲中間母本農8号の穂ばらみ期耐冷性のQTL解析
- 123 In situハイブリダイゼーション法によるイネ葉でのRuBPカルボキシラーゼmRNAの検出
- 76 イネ小胞子初期における葯の電子顕微鏡観察
- (23)アブラナ科野菜由来ディフェンシン遺伝子およびその改変遺伝子を導入した組換え個体のいもち病抵抗性(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- アブラナ科野菜由来デイフェンシン蛋白質の抗菌活性領域の解析
- 水稲穂ばらみ期耐冷性遺伝子座領域の塩基配列の解析
- 水稲耐冷性中間母本の交配後代における耐冷性選抜と耐冷性QTLの効果
- 38. 中国雲南省在来イネ品種における耐冷性の変異および生殖生長期の耐冷性を支配する量的遺伝子座の解析(日本熱帯農業学会第96回講演会)
- ETO1ファミリータンパクとACC合成酵素の相互作用の解析
- イネの低温障害及び低温による遺伝子発現誘導の解析
- イネの低温枯死症状に関連する低温誘導性遺伝子のDNAクローニング
- RFLPによるイネ幼苗期耐冷性の解析
- イネのsubtracted cDNAライブラリーの解析
- イネ低温誘導性遺伝子と低温枯死耐性
- テンサイ単胚性遺伝子(m___)周辺域のRFLP分析
- コムギハードニング特異的遺伝子の発現解析
- イネ低温誘導性遺伝子の発現
- イネの生育初期の低温傷害に関係のある遺伝子及び遺伝子座の解析
- イネの低温成長性、低温クロロシス及び低温傷害枯死に関するQTLの解析
- 水稲耐冷性育種母本北海PL5の耐冷性遺伝子の精密マッピング