北大西洋域における夏季の天候レジーム
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
現実大気における天候レジームの力学に関する我々の理解を深めるため、1951年から1994年までの44年分の日々の700hPa等圧面高度場データを用い、北大西洋域における夏季の天候レジームについて解析を行った。高度場の変動成分での主要な3つの経験的直交関数(EOF)で張られる位相空間における存在確率密度関数(PDF)の非一様性にもとづき、天候レジームを定義した。その結果、多変数ガウス分布と比べ、統計的に有意に大きなPDFの値を持つ領域として、5つの天候レジームを抽出することに成功した。これらの天候レジームには、北大西洋振動パターン(NAO)の2つの位相に相当する循環パターンを持つものや、北大西洋域でのジェット気流が強化されるパターンを持つものが含まれる。さらに、夏季における天候レジームのさまざまな特徴について、冬季の天候レジームと比較しながら記述した。その結果、夏季の天候レジームの循環パターンは冬季のそれとよく類似していることが示される。これは、夏季の天候レジームは季節変化の影響を受けにくいことを示唆している。また、簡単な大気モデルで示されている天候レジームの分岐特性との関連において、夏季の天候レジームの持続性や、遷移特性について議論する。最後に、天候レジームの出現頻度の年々変動についても言及する。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-04-25
著者
関連論文
- 大規模大気波動に伴う物質輸送とその季節変動・年々変動
- 日本における顕著現象の予測可能性研究(最近の学術動向)
- A165 2005年12月の偏西風の異常とその1か月数値予報(スペシャルセッション「2005/06年の異常な冬について」II)
- P338 2005年12月の偏西風の異常
- 2. 2003年夏の北半球ダブルジェット(2004年度春季大会シンポジウム「2003年日本の冷夏-異常気象をどこまで理解・予測できるか」の報告)
- 表面地形がある場合の傾圧帯状流の不安定性〔英文〕
- 2005年12月の熱帯対流活動と日本付近の異常低温 (2005/06年 日本の寒冬・豪雪) -- (寒冬をもたらした要因)
- ヘテロ奇胎の続発変化
- C456 ブロッキング現象におけるストームトラックの役割(ストームトラックの力学,専門分科会)
- C251 予測可能性の変動に関する理論と実際(顕著現象の予測可能性,専門分科会)
- B118 熱帯域季節内振動の活動度と予測可能性との関係(熱帯大気)
- C110 熱帯季節内振動に伴う不安定摂動の力学的特徴(熱帯大気)
- C305 気象庁1か月予報におけるマッデン-ジュリアン振動の予測可能性(熱帯大気I)
- 2005年12月の偏西風の異常とその1か月アンサンブル数値予報 (2005/06年 日本の寒冬・豪雪) -- (寒冬・豪雪の長期予報及び予測可能性)
- P138 2005年12月のアジアジェット沿いのロスビー波列の持続
- C402 熱帯域における季節内振動の予測可能性(熱帯大気)
- 2003/04年夏のオホーツク海高気圧の1か月予報 (総特集 夏季気候変動--冷夏猛暑に代表される夏季異常気象研究の統合) -- (1章 オホーツク海高気圧)
- P361 アジアジェットに捕捉された準定常ロスビー波と日本の天候
- 第14章 気象庁現業季節予報モデルによる2003年夏の予報 (2003年日本の冷夏) -- (第3部 日本の夏の天候を予測する)
- C403 気象庁1か月アンサンブル予報モデルによるMJOに伴う鉛直加熱率とTRMM、JRA-25との比較(熱帯大気)
- 北大西洋域における夏季の天候レジーム
- 北大西洋域における夏季の天候レジーム
- 今後の気象学および気象学会のあり方について (2.評議員の発言要旨)
- 大気大規模運動における準定常状態(平成2年度山本・正野論文賞受賞記念講演)
- 6.MJOがPNAパターンの予測可能性に及ぼす影響(発表された題目および概要,熱帯海洋変動と大気循環〜新たな展開〜,研究会「長期予報と大気大循環」の報告,研究会報告)
- P395 北半球夏季における中高緯度の長周期変動とオホーツク海高気圧
- C458 北半球環状モード成層圏-対流圏結合過程のENSOサイクルへの依存性(ストームトラックの力学,専門分科会)
- 4.2010年夏の異常気象(2011年度春季大会専門分科会報告,研究会報告)
- A161 2001/02-2009/10年における気象庁1ヶ月アンサンブル予報データを用いた冬季北半球成層圏の予測可能性(気象庁が提供する気象データの利用と数値モデル開発の現状・課題,専門分科会)
- B303 中間規模波動の南半球環状モードに果たす役割(中高緯度大気,一般口頭発表)
- はじめに(2010年度秋季大会シンポジウム「大気圏のさまざまな境界面での相互作用」の報告)
- 確率微分方程式を用いた気候モデルについて (偏微分方程式の背後にある確率過程と解の族が示す統計力学的な現象の解析)
- D460 福島第一原発事故によって放出された物質の輸送シミュレーションにおける大気再解析データに起因する誤差の検証(物質循環,一般口頭発表)
- C160 1ヶ月アンサンブル予報における冬季極域大気の予報誤差変動について(中層大気研究の新展開,専門分科会)
- 2010年度秋季大会シンポジウム「大気圏のさまざまな境界面での相互作用」の報告はじめに
- 成層圏-対流圏結合系の変動と予測可能性に関する研究 : 2013年度日本気象学会賞受賞記念講演