冬季北半球500hPa高度と地上温度場の特異値分解解析
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概要
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最近約30年の冬季北半球500hPa高度とほぼ全球の地上気温/海面水温(SST)併合データの特異値分解(SVD)解析を行った。その第1モードは極域/ユーラシア(PEA)パターンと呼ばれるもので、局地的なテレコネクションよりはむしろ半球規模の広がりを持つ大気の内部変動と考えられる。第1モードの冬平均500hPa高度は、秋から翌春にかけてのユーラシアでの地上気温と密接に関係しており、時系列には年々から十年の時間スケールの変動が卓越する。また、熱帯のSST偏差との線形の関係は見られない。第2モードと第3モードの高度場はそれぞれ太平洋/北アメリカ(PNA)と西太平洋(WP)型のテレコネクションパターンと同定される。これらもまた大気の内部変動と考えられるが、その年々の変動は共に熱帝太平洋SSTに影響されている。これらの結果を通常行われている500hPa高度とSSTのみのSVD解析と比較した。高度場とSSTのSVD解析第1モードは、ENSOに伴って現れる北半球の循環場の偏差と考えられ、上記の第2モードと第3モードの線形結合として表現できる。この結果からエルニーニョごとの中緯度大気循環の違いは一つにはPNAとWPの強さの違い、また一つにはENSOとは独立なPEAの変動の強度に依存していると解釈できる。さらに大気の変動の鉛直構造を100hPaの気温と500hPa高度のSVD解析を使って調べると、PEAとPNAがそれぞれ第1, 第2モードとして抽出され、PNAは対流圏内に限定されているのに対し、PEAはさらに成層圏内にまで伸びている。この違いはそれらが異なるメカニズムで励起されていることを示している
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-02-25
著者
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