新規抗悪性腫瘍薬S-1ならびに,その新規配合成分CDHPおよびOxoの変異原性試験
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概要
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S-1の安全性試験の一環として,S-1およびその新規な配合成分であるCDHPおよびOxoの変異原性を評価するために細菌を用いた復帰突然変異試験および培養細胞を用いた染色体異常試験を実施した。1. 復帰突然変異試験ではS.typhimurium TA100, TA98, TA1535, TA1537およびE. coli WP2uvrA株を用い,S-1ではFT量として1.02〜520 μg/plateの用量で, CDHPでは39.1〜5000 μg/plateの用量で,Oxoでは78.1〜5000 μg/plateの用量で実施した。代謝活性化の有無にかかわらず,いずれの菌株も溶媒対照群と比較して2倍以上の復帰変異コロニー数の増加は認められなかった。2. 染色体異常試験では培養細胞CHL/IUを用い,S-1の直接法24時間ではFT量として27.5〜220 μg/ml,48時間では6.88〜27.5μg/ml,代謝活性化法では110〜880 μg/ml処理群について,CDHPの直接法24,48時間および代謝活性化法では365〜1460 μg/ml処理群について,Oxoの直接法では122〜1950 μg/ml,代謝活性化法では488〜1950 μg/ml処理群について実施した。S-1は直接法および代謝活性化法ともに染色体の構造異常を誘発した。CDHP処理群では構造異常がみられず,陰性であった。一方, Oxoでは代謝活性化法および直接法の24時間処理で陰性であったが,48時間処理では陽性であった。一方, S-1,CDHPおよびOxoとも染色体の数的異常はいずれの方法でも陰性であった。以上の結果から,S-1およびOxoには細菌における遺伝子突然変異誘発能は認められなかったが,in vitroでの染色体異常誘発能を有すると判断された。CDHPにはいずれの試験においても変異原性は認められなかった。
- 1996-11-27
著者
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前田 泰宏
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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大内田 昭信
大鵬薬品工業
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河内 泰英
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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佐藤 幸子
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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佐藤 幸子
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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前田 泰宏
大鵬薬品工業(株) 製薬センター
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河内 泰英
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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