草地の植生改良に関する研究 : 第 4 報 青刈ヒエによる放牧地の集約利用について
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概要
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以上の試験結果を総括すると次のようである。1.放牧場の優占草種である, ササの開花によって牧養力の低い植生では, 牧期後半(8〜9月)において再生力の鈍化にともない質量の低下などの条件がかさなるので, 放牧効果に大きく影響する。この環境条件からみると, 青刈ヒエの生育日数(出穂期)は積算温度によって長短が決定する傾向から, 播種期が8月4日(有効限界の下限)附近であっても日量の生産草量は変化も少なく, かえって生育日数が短縮されるので, 飼育効果の低下を早期に調節的に供給できるので輪換放牧には極めて効果的と考えられる。2.集約利用試験区によって放牧全期(6〜9月)の40%が青刈ヒエの利用期間となるので, 2年目の生育過程にあるササの繁殖助長に対する効果も多いものと思われる。3.放牧採食を始める時期については, 播種後24日前後の葉重比33%, 生長点の高さ5cm附近から始め, 採食期間において残存茎の長さが18〜20cm程度で放牧を中断すれば, その後12日位で短期再生するので2回目の放牧が可能となるので土地利用効率の点からも経済性が高いようである。青刈ヒエの再生利用については, 品種, 播種期などの関係もあるので今後の課題としたい。4.放牧場内に植生転換対策として集約利用区を設置することによって, 夏季利用後(青刈ヒエ)イタリアンライグラスを播種すれば冬季放牧(10〜12月), 翌年早春放牧などの2次的効果も当然可能となる。
- 1971-11-30
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