晩生水稲における花芽の分化ならびにその発達におよぼす日長条件
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概要
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花成反応の研究において、もっとも重要な前提の一つは反応の強弱を示す指標設定の問題である。水稲における花成の研究の場合、その指標は種々あるが、もっとも屡々用いられるのは出穂現象を基準とするものである。確かに出穂という現象は観察も容易であり、筒便かつ実用性もある。しかし出穂は花芽の分化およびその発達を経過し、結果として見られる現象であり、これを花成反応の尺度とすることには疑問な点が多い。また一般に出穂は幼穂分化後、およそ30数日とされてはいるが、諸条件によりかなり変動することも知られている。さらに晩生水稲の花芽分化の完了と、その発達に関する日長行動はSN植物として特長づけられている。晩生水稲の幼穂の分化およびその発達に関して、日長条件がどのような影響をおよぼすかについて追試確認する必要を感じおこなった実験結果の概要を述べ、二三の検討を試みた。実験材料として晩生水稲農林18号を供試し、1/5, 000アールポットに4個体植え、2ボット8個体の全茎を対象として1処理区とした。本実験では処理開始後出穂までの日数を指標としておこなったものと、幼穂の発達段階を指標として取り扱ったものとあるが、すべて同一条件下でおこなわれたものではないので直接の比較はできなかった。供試材料は播種後、処理開始まで栄養生長を保持させるため連続光の下で育て、主稈葉数10〜11の生長段階に達したものについて処理をおこなった。短日処理は15時間。暗期(9時間日長)とし、暗期の湿度は28±2Cに保った。
- 日本作物学会の論文
- 1969-07-31
著者
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