晩生水稲の花成におよぼす暗期前の光について

概要

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晩生水稲の花成を支配する暗期前の光条件について検討した。 : (1) 十分長い暗期前の弱光照射は花成を抑制するが、限界暗期よりやや長い程度の短かい暗期前の弱光照射は花成を促進する。(2) この短かい暗期前の光に対する感受性は波長によって異なり、赤色光に最も敏感で青色光、緑色光に対する感受性は低い。従って日長延長を目的とする夕方からの補光には、赤色光か、赤の成分の多い光源を使用することが有効である。(3) 10時間暗期の前の昼光色螢光灯光の照射が、4時間以内の場合には100lux以下では低照度程花成は促進されるが、200luxではほとんど効果はない。この場合、10luxでは2時間以内、50luxでは1時間以内の前照射は、もはや光としての作用はなくdarkに等しい。なお、100ux以上の前照射が4時間を越えると花成は阻害される。(4) 従って自然条件下での有効日長を求める場合、夕方の光については日没時刻前後の波長構成を考慮するとともに、従来報告されている値よりかなり高い照度でも既に暗期反応の初期の過程は進行し得るものと考えられ、さらに検討を要する。
日本作物学会の論文
1967-03-31