バレイショ生産地帯における土壌と河川水中の可溶性ケイ酸とアルミニウム含有率の差異

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北海道におけるバレイショ生産地であるニセコ,栗山地域とジャガイモそうか病多発地帯の網走地域の河川水のケイ酸と土壌中の可溶性ケイ酸およびアルミニウムを調べたところ,つぎのことが明らかになった.1)北海道における河川水中ケイ酸含有率は日高山脈をはさんで西部よりも東部で高くなる傾向を示した.2)河川水中ケイ酸含有率は西部のニセコ,栗山地域の河川で低く,その含有率はSiO_2で10〜20mg kg^<-1>の範囲であった.これに対して,網走地域の河川水中ケイ酸は10〜46 mg kg^<-1>の範囲にあった.とくに褐色火山性土を通過する河川水では40 mg kg^<-1>以上を示した.3)1N酢酸-酢酸ナトリウム抽出のSiO_2はニセコ,栗山地方の平均値で200mg kg^<-1>程度,網走地方の褐色火山性土の平均値は440mg kg^<-1>であった.4)1N硝酸-硝酸ナトリウム抽出のAlはニセコ,栗山地域の平均値で440 mg kg^<-1>で,最高値は1060mg kg^<-1>を示した.一方,網走地域の平均値は250〜300 mg kg^<-1>の範囲であった.5)1N酢酸-酢酸ナトリウム抽出のSiO_4とAlは高い相関が得られたが,網走とニセコ,栗山地域ではその比は異なる.ニセコ,栗山地域のSi/Al比は0.23であったのに対して,網走地域の黒色火山性土で0.48,酸性褐色森林土で0.54,褐色火山性土で0.67であった.6)置換酸度y_1は可溶性のSi/Al比の低下にしたがい増大し,Si/Al比が0.5以下では急激な増大を示した.7)以上の結果から網走地域の土壌で可溶性アルミニウムの低い理由は土壌中に多量に存在する可溶性ケイ酸のため,アルミニウムは非晶質の水酸化アルミニウムより安定なケイ酸アルミニウムの形態となるためと結論された.また,土壌中の可溶性ケイ酸は河川水のケイ酸と密接な関係にあり,ジャガイモそうか病の発生の大局的な判定に河川水中のケイ酸含量が利用しうることが明らかになった.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1994-04-05

バレイショ生産地帯における土壌と河川水中の可溶性ケイ酸とアルミニウム含有率の差異

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