春播コムギ2品種の乾物生産特性の遮光に対する反応の差異
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概要
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本試験では, 群落内での光の透過分布が大きく異なるコムギ2品種(ハルユタ力と農林61号)について, 開花前および開花後での遮光処理が乾物生産特性に及ぼす影響について調査した. 子実収量は, ハルユタカが遮光処理により無処理区に比べて13-15%低下したのに対して, 農林61号では遮光処理により32-34%低下した. このことは, 全乾物重がハルユタ力と農林61号で遮光処理によりそれぞれ11-13%と27-32%低下したことに起因しており, ハルユタカは日射不足条件での乾物生産量の低下程度が農林61号に比べて小さいことが明らかとなった. この際, 葉身の窒素含有率は, ハルユタカでは第2葉と第3葉で開花前遮光処理により乳熟期(処理終了後)に無処理区より高い値を示したものの, 農林61号では遮光処理による影響が認められなかった. さらに, 葉身の可溶性炭水化物の日中増加量は, ハルユタカでは遮光処理により乳熟期に無処理区とほぼ同様あるいはそれ以上の値を示したものの, 農林61号では遮光処理により乳熟期に無処理区よりも低い値を示した. これらの結果から, ハルユタカは遮光処理終了後, 群落での光合成生産量が高まったものの, 農林61号ではそのような変化がみられなかったものと推察された.
- 日本作物学会の論文
- 1999-03-05
著者
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