水稲Calrose近縁品種の幼穂発育と出穂特性
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概要
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Calrose 76を中心とするアイソジェニック7品種を1985年,カリフォルニア大学(Davis)の水田で栽培し,葉齢指数と幼穂発育程度との関係,主程と分げつの出穂日を調査した. 主程と6号分げつの葉齢指数と幼穂長の関係は主稈のみの場合と同様であり,止葉の葉数が確定したあとの幼穂の発育段階は葉齢指数から高い精度で推定できることが確認された. 調査個体200株の平均値でみた場合,品種ES-201の主程の出穂日は1株の中で最初に出穂した分げつの平均出穂日とほほ同時であったが,他の6品種の出穂日は主程よりも分げつのほうが早かった. とくに,品種S-201の主程の出穂日は最初に出穂した分げつの平均出穂日よリ2週間も遅れた. 1株のなかで最初に出穂した分げつはES-201を除き1次分げつの6号分げつ(主稈の6葉から出た分げつ)であったが,2次分げつが最初に出穂した個体もみられた.これら6品種では葉齢指数85-90の時期の幼穂長は6号分げつが最大値を示し, しかも主程よりも大きい値を示していたので, これら6品種の分げつの出穂日が主程よりも早い性質はこれら6品種の特性であると考えられる. M-302とS-201の主稗の出穂日がCalrose 76とM 7に比較して低温に遭遇した場合に遅延程度が大きかった理由のひとつにこれらの品種の穂首節間の低温による伸長抑制が指摘された. また, M-101とES-201がM 7とS-201よりも出穂が早いのは, M-101では止葉葉数が少ないこと, ES-201では葉の展開速度が早いことによるものと推定された.
- 日本作物学会の論文
- 1991-06-05
著者
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