水稲の生育調節と栄養診断に関する研究 : 第3報穂肥施用時の生育状態の診断

概要

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葉令指数90前後の窒素追肥は単位面積当り頴花数を増し, 収量を高めるのに効果的であり, 穂肥として重視されている. 従来, 穂肥要否の判定に関する試験は多数あるが, それらの多くは単独の形質に着日したもので, 生育状態を総合的に判定しようとしたものは少ない. 最近, 色票やグリーンメーターで葉色を数値化することが容易になったので, 茎数や第5節間長など, この時期に測定できる形質に基づいて生育状態を診断し, 穂肥施用時の適正値を求めようと試み, 次の結果を得た. 1. m^2当り茎数は地上部乾物重と正の相関を示した. 葉色も稲体窒素含有率と密接な関係にあるので, m^2当り茎数と葉色(または葉色/葉鞘染色比)の積は窒素吸収量と高い相関を示した. また, 窒素吸収量は第5節間長とも高い相関を示した(Table 2〜5). 2. m^2当り茎数と葉色の積が大きく, 第5節間艮が長いとき, m^2当り頴花数が増大した. しかし, このような条件下では, 倒伏しやすく, 登熟歩合が低下するので, 収量面からみると, m^2当り茎数と葉色の積および第5節間長のそれぞれに適値の存在することが認められた. この値を越える状態で穂肥を施用すると減収した. 3. この適値は, 品種・地力・出穂後の天候などにより変わるので, 栽培の年次・場所を異にするデーターの蓄積の上に, 平均的な値を求める必要がある.
日本作物学会の論文
1982-09-15

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