照射条件が光重合型コンポジットレジンの象牙質接着に及ぼす影響について(第486回大阪歯科学会例会抄録)

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近年,ハログンラングだけでなくキセノンランプ,LEDといった異なった光源を有する照射器が開発されている.これらの光源は,分光波長分布や光強度が異なリ,光重合型コンポグットレグン(以後,光レグンと略す.)の重合に与える影響や,重合収縮が象牙質接着強さに与える影響および象牙質窩壁適合性に与える影響が違ってくると考えられる.今回,照射条件が光レグンの象牙質接着に及ぼす影響について検討した.材料と実験:光レグンはClearfil AP-Xを使用した.照射器はハログンランプのCuring Light XL 3000(以後XL),キセノンラングのCredi 8000(以後CR)およびLEDのLUXOMAX(以後LU)を使用した.光レグンの照射時間はXLが30s,CRが3s,5s,10s,LUが40s,50s,60sの7条件とした.接着システムはClearfil Mega Bond(以後MB)とSingle Bond(以後SB)を使用し,ボンディング剤への照射はXL 10sに統一した.本実験では,1)各照射器の分光特性の測定,2)光レジンの経時的収縮動態の測定,3)光照射直後および照射後37℃水中24時間保管後の光レジンのヌープ硬さの測定,4)ウシ歯象牙質への接着直後および接着後37℃水中24時間保管後の接着引張強さの測定,5)ウシ歯象牙質に形成した円柱状窩調の窩禄コントラグションギャップ(以後,ギャップと略す.)の観察を行った.結果および考察:各照射器の分光特性は光出力が高い順にCR,XL,LUとなり,波長域は広い順にXL,CR,LUとなった.光レジンの経時的な収縮はCRが最も早く,次にXL,LUとなった.これは照射器の光出力が関係したと思われ,CRは急速に光レジンを重合させると考えられる.収総量はCR 10sが最も大きくCR 3sが最も小さかった.光レジンのヌープ硬さはすべての照射条件で直後から24時間後に増加が認められた.照射条件間では,いずれの照射器においても照射時間の増加にともないヌープ硬さの増加が認められ,XL 30s,LU 50s,CR 5sが同程度であった.引張接着強さはいずれの照射条件においてもMB,SBともに直後から24時間後に増加する傾向が認められた.ヌープ硬さで低い値を示した条件が引張接着強さても低い値を示したのは,光レジンの硬化が十分でなかったと考えられる.接着システム間の比較ではMBの方がSBよリ引張接着強さか高い傾向を示した.ギャップはMBを使用した場合,XL、LUのすべての照射条件下で観察されなかったが,CRの条件下では観察された.SBを使用した場合にはすべての条件下で観察された.ギャップの発生は接着システムの接着強さと光レジンの収縮速度が関係したと考えられる.結論:3種の異なった光源の照射器を使用した場合,急速な重合によりギャップ発生率が高<なったが,光レジンの重合に与える影響および象牙質接着引張強さに有意な差はなかった.
大阪歯科学会の論文
2003-03-25

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