ヌードマウス移植ヒト口腔癌に対するCDDP併用局所温熱化学療法の抗腫瘍効果
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概要
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温熱療法は単独でも抗腫瘍効果が認められるが, 一般には放射線療法および化学療法との集学的治療として用いられている. cis-Diamminedichloroplatinum (CDDP)は, 頭頸部腫瘍において頻繁に用いられる薬剤で, 種々の併用療法が行われている. CDDP併用局所温熱化学療法もその一つであるが, in vivoにおける基礎的検討はほとんどなされていない. 今回, 著者らはヒト口腔癌由来のKB細胞をヌードマウス(4週齢, BALB/cA)上に固形腫瘍として発育させたものを用い, CDDP併用局所温熱化学療法による抗腫瘍効果および副作用について検討を行った. CDDPの投与については1, 3, 5および7mg/kg腹腔内投与を, また加温については恒温槽を用い, 39, 41, 43および45℃, 30分間加温を, それぞれ単独および併用にて3日間隔で3回行った. 抗腫瘍効果の判定については相対平均腫瘍重量比(relative mean tumor weights, RW_n=Wn/W_0, day nとday 0)の比較で行った. 副作用の検討は相対平均体重比(relative mean body weights, RBW_n=BW_n/BW_0)により行った. 併用効果の判定には相対平均腫瘍重量によるT/C比(T/C of the relative mean tumor weights, T_<RW>, T:治療群, C:対照群)の値を, 加温温度別増感率の算定にはRW_n値の比をそれぞれ用いた. 結果は以下のごとくである. 1. CDDP併用局所温熱化学療法は, 相乗効果を示した. 2. CDDPによる抗腫瘍効果は, 39℃加温に比べ43℃加温で約6倍に増強した. 3. CDDP併用局所温熱化学療法群における体重減少は, CDDP単独群と同程度で, 回復傾向も十分みられた. 以上より, CDDP併用局所温熱化学療法は抗腫瘍効果が高く, 副作用の少ない治療法と考えられた.
- 大阪歯科学会の論文
- 1993-08-25
著者
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