線毛を有する口腔レンサ球菌の付着性状
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概要
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線毛を有するStreptococcus salivarius (S. salivarius) とStreptococcus oralis (S. oralis) のハイドロオキシアパタイトと上皮細胞への付着数およびプラーク形成性を検討した. S. salivariusの周毛性線毛, type Aのハイドロオキシアパタイトへの平均付着数は9.6×10^5 cells/diskであった. また, S. oralisのtype Aは1.7×10^6 cells/disk, 局在性線毛, type D, type Eはそれぞれ4.9×10^5, 1.0×10^6 cells/diskであった. また, これらの菌種の唾液処理ハイドロオキシアパタイトへの付着数は減少する傾向がみられた. 上皮細胞への付着数は, S. oralisよりS. salivariusで著しく多く, 局在性線毛より周毛性線毛で多かった. ハイドロオキシアパタイトへの付着数が多い群と少ない群とで比較すると, S. salivariusでは付着数の多い群のほうが, むしろ上皮細胞への付着数が少ない傾向がみられた. この結果は, S. salivariusの菌体表層にハイドロオキシアパタイトと上皮細胞に対する, 異なる付着因子が存在していることを示唆している. In vitroプラーク形成性は, S. salivariusではほとんどすべての菌株で認められた. S. oralisでは3株にのみ弱い形成性がみられ, 残りはすべて陰性であった. 以上の結果から, 口腔環境においては, sucroseの有無に関係なく, S. salivariusがS. oralisよりも初期の付着に, より関連していると考えられる.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-08-25
著者
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