口腔癌におけるp53の発現およびKi-67抗原の局在と腫瘍の分化度および浸潤性との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
口腔原発偏平上皮癌30例における癌抑制遺伝子p53および Ki-67 (細胞増殖抗原) の発現を免疫組織化学的に検索してそれらの陽性細胞の割合を求め, さらに病理組織学的に癌組織の分化度および浸潤様式とp53および Ki-67 の関連について検討した. なお, 浸潤様式は, 山本らの Grade 1, Grade 2, Grade 3, Grade 4C および Grade 4D の分類法によって分類した. p53の発現は, 30例中28例に認められた. そのうち, 高分化型20例中18例の偏平上皮癌では, p53は癌胞巣の辺縁部付近に強く, 発現する場合と胞巣全体やほぼ半分, ほぼ全腫瘍細胞に存在する場合があり, 中分化型6例および低分化型4例では腫瘍細胞のほとんどすべてにそれぞれ認められた. なお高分化型では, 発現のみられなかった症例が2例あった. 一方, 浸潤様式との関連について, Grade 2 (7例) および Grade 3 (7例)では, p53陽性細胞は胞巣辺縁部付近あるいは胞巣の約半分に, Grade 3 (4例), Grade 4C (7例) および Grade 4D (3例) では腫瘍細胞のほとんどすべてにみられたが, Grade 2にはp53の発現がみられなかった症例は2例あった. 分化度と Ki-67 陽性細胞の割合との関連については, 高分化型, 中分化型および低分化型ではそれぞれの平均は 27.2, 31.7 および 35.6%であった. 腫瘍の浸潤様式と Ki-67 陽性細胞の割合との関係では, Grade 2, Grade 3, Grade 4C および Grade 4D の各平均は 23.2%, 28.3%, 30.5% および 38.7% であった. 以上の所見より, 口腔偏平上皮癌の発生にp53癌抑制遺伝子が関与し, その発現は低分化型および浸潤性の強い症例に顕著であった. また, 腫蕩細胞の増殖能は低分化型および索状に増殖する Grade 4C型やびまん性に増殖する Grade 4D型に高かった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1994-10-25
著者
関連論文
- 口腔扁平上皮癌における c-Met の発現および頸部リンパ節転移との関連
- 3 扁平上皮癌におけるp53およびp21の免疫組織化学的局在(第478回大阪歯科学会例会)
- 疼痛を主訴に来院した静脈石を伴った舌血管腫の1例
- 7 口腔粘膜の上皮性異形成症および扁平上皮癌におけるhuman papillomavirusの検出と癌抑制遺伝子の異常発現(第516回 大阪歯科学会例会)
- 4-Nitroquinoline 1-Oxide誘発ラット舌癌におけるカドヘリン-カテニン複合体の発現とβ-カテニンのリン酸化
- エナメル上皮腫における E 型および P 型カドヘリンの発現 : 組織型と細胞間接着分子発現の関連
- 顆粒細胞型エナメル上皮腫の細胞動態と細胞接着能の免疫組織化学的検討
- 下顎骨にみられた多発性骨髄腫の1例 : 共焦点レーザ走査顕微鏡による観察
- 嫌気性菌を同時に分離した副鼻腔真菌症の1例
- 口腔原発扁平上皮癌のα-カテニンの発現減弱は予後と関連する
- 14.ベージュマウス歯周組織の電顕的観察(第26回 秋季日本歯周病学会)
- 1 エムドゲイン^[○!R]由来ペプチドに対する歯根膜線維芽細胞の分子生物学的研究(第516回 大阪歯科学会例会)
- 1 歯周組織再生に関する基礎的研究(第494回大阪歯科学会例会)
- ラット歯周組織に対するモノクローナル抗体の染色性
- ラット歯周組織に対するモノクローナル抗体の染色性の検討
- 口腔粘膜の上皮性異形成におけるP型カドヘリンの検索
- ラット歯根膜を認識するモノクローナル抗体の作製
- 2 硬組織形成疾患におけるヒトセメント質に対するモノクローナル抗体の染色性(第494回大阪歯科学会例会)
- ヒトセメント質に対するモノクローナル抗体の染色性
- ヒトの歯のセメント質を認識するモノクローナル抗体の染色性の検討
- Immunodouble staining with D2-40 and CD34 MoAbs in oral neoplastic lesions
- D-17 セメント質歯根膜結合部を認識するモノクローナル抗体
- ヒトの歯に対するモノクローナル抗体の作製と応用
- B-26-9 : 50 免疫異常を伴うMRL/lマウス歯周組織の組織化学的研究
- 口腔扁平上皮癌におけるα-カテニンの発現減弱と悪性度との関連
- 口腔原発扁平上皮癌におけるE型カドへリンとα-カテニンの発現
- E型カドへリンの発現性と口腔原発扁平上皮癌患者の予後との閨連
- p21とp53の二重染色による口腔癌の解析
- Poly Tプローブを用いたrapid in situ hybridization法における固定液および脱灰液の影響
- 下顎骨中心性に発生した富細胞型神経鞘腫の1例
- C-4 ラット骨芽細胞のPTH応答性およびBGP産生性
- C-17 ラット縮合エナメル上皮におけるレクチンの反応性
- B-3-920 ラット再生付着上皮におけるレクチンの反応性
- P1-9 ラット正常歯肉上皮のレクチンに対する反応性
- 口腔扁平上皮癌におけるP型カドヘリンおよびサイクリンD1の発現
- 1 ヒト歯周炎歯肉から物理的粉砕法によって得られた単核球のフローサイトメトリー(第478回大阪歯科学会例会)
- 口腔扁平上皮癌におけるP型カドヘリンとサイクリンD1の発現
- D-12 組織粉砕によるヒト歯肉のFlow Cytometryへの応用
- ヒト口腔扁平上皮癌を抗原とするマウスモノクローナル抗体による口腔癌の免疫組織化学的および免疫電顕的研究
- 口底に生じた紡錘細胞癌の1例
- 口腔扁平上皮癌におけるβカテニンおよびリン酸化βカテニンの発現とリンパ節転移および予後との関連
- 口腔原発癌の頸部リンパ節転移とカドヘリン-カテニン複合体の発現性
- 辺縁性歯周疾患の免疫病理学的研究 : 歯周炎の初診時ならびに初期治療終了時における免疫グロブリンと補体 : 第29回春季日本歯周病学会総会
- 1.Gingival Fibromatosisの酵素組織化学的研究(1) : とくにmast cellについて(一般講演要旨,第23回 春季日本歯周病学会)
- B-14 多形性腺腫におけるE型カドヘリンおよびKi-67抗原の免疫組織化学的検討
- 上顎に生じた歯原性石灰化上皮腫の1例
- IIB-17 セメント質および骨組織の染め分け(骨・歯・唾液腺その他,一般演題発表,第46回日本組織細胞化学会総会・学術集会)
- 歯周組織再生に関連するセメント質歯根膜界面
- 剖検肺6例における金属沈着の分析 : 歯科技工士と他職種との比較
- 下顎前歯部に発生した類上皮肉腫の1例
- 頬粘膜部に発生した平滑筋腫の1例
- P-18 重層扁平上皮に由来する各種病変におけるE型およびP型カドヘリンの発現(病理1,一般演題(展示発表),第41回 日本組織細胞化学会総会・学術集会)
- 顎下腺に転移を認めた肺小細胞癌の1例
- 非定型的な組織像を呈した口蓋腺由来腺房細胞癌の1例
- C-12 線維芽細胞および骨芽細胞に対するbFGF濃度
- 頬部に発生した石灰化を伴う平滑筋腫の1例
- 頬部に生じた表在性平滑筋肉腫の1例
- 口腔癌におけるp53の発現およびKi-67抗原の局在と腫瘍の分化度および浸潤性との関連
- 5 口腔癌におけるp53の発現および Ki-67抗原の局在と腫瘍の分化度および浸潤性との関連 (第433回 大阪歯科学会例会)
- A-29-1055 辺縁性歯周炎における上皮細胞増殖の検索
- D-23 ヒト歯肉組織におけるカドヘリンの発現に関する光顕的および電顕的観察
- 口腔扁平上皮癌の細胞間接着分子と予後
- B-20-13 : 50 歯肉のカドヘリン発現に及ぼす固定法の影響
- 1B-9-10 : 50 歯肉におけるカドヘリンおよびカテニンの発現
- A-17-12 : 10 歯肉における接着分子カドヘリンの発現
- B-15-14 : 25 ヒト歯周炎歯肉組織から物理的粉砕によって得られたリンパ球のflow cytometerによるサイトカインの解析
- フローサイトメトリーの根尖性歯周炎への応用-炎症組織中の死細胞の除去の検討
- 上唇に発生したpolymorphous low-grade adenocarcinomaの1例 : 病理組織学的検討および文献的考察
- 分葉状に発育した上顎のエナメル上皮線維腫の1例
- 口腔原発扁平上皮癌におけるE-カドヘリン発現と浸潤様式との関連
- 角化嚢胞性歯原性腫瘍と正角化性歯原性嚢胞におけるサイトケラチンの発現
- 口腔領域における転移性腫瘍の臨床的病理組織学的研究
- 良性リンパ上皮性疾患の2例
- マグネシウムワイヤー硬化療法を併用し, 切除した顔面血管腫の1例