イネの花粉飛散による自然交雑程度の解析
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概要
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遺伝子組換え作物を一般圃場で栽培する際,組換え作物と非組換え作物間で交雑が起こることにより生態系への遺伝子拡散が懸念されている.近年発生したスターリンク事件は,その一例とされている.この花粉飛散による交雑についての知見を得ることは緊急課題となっており,わが国における環境に対する安全性評価の一環にもなっている.わが国では,イネのモチ品種へのウルチ粒の混入という点で花粉飛散と交雑に関する研究が古くからなされている.この花粉飛散距離は気象条件や圃場位置,ウルチ品種の栽植場所などでも異なるという結果が得られ,少なくともウルチ品種から3mまでは0.01%の交雑率が報告された(根本ら1974).一方で,ウルチ品種から20mの距離でも0.07%(鈴木ら1968)のウルチ粒混入率が認めるとの報告もある.また,品種間の出穂期差によっても交雑率が変動することが報告されており,モチ品種とウルチ品種の出穂期差が3〜4日以内の場合は交雑の可能性が極めて高く,自然交雑を完全に防止することは困難であるが,6〜7日以上離すことで交雑はかなり抑制できるという結果が報告されている(鎌形ら1990).本実験では,これらの研究結果を参考に,花粉源からの距離,出穂期の差異と交雑率との関係,さらに気象要因(風向・風速)と交雑率との関係を明らかにすることを目的として行った.
- 2004-12-27
著者
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