圃場におけるイネいもち病菌の有機リン殺菌剤耐性の発達
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概要
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チオール型有機リン殺菌剤(PTL剤)であるIBPを用いてイネいもち病菌圃場分離株に対する最低生育阻止濃度MICを求め, PTL剤感受性頻度分布を調査した結果, PTL剤が実用される以前に分離された菌株に比較して, 1977年に富山県下で分離された菌株では耐性が発達していることが明らかであったが, その程度は多くの場合大きくなく, 中程度耐性(MR)の菌株が多く出現していると思われ, またまれには耐性度のそれより高い耐性(R)菌株も見いだされた.しかし, 通常の菌株とMR分離株とを区別することはMIC測定だけでは不十分であった.寒天培地上の菌叢生育のIBPによる阻害により, あるいは, IBPとN-phenylphosphoramidate (PA)間に見られる殺菌協力作用を濾紙交さ法により測定することにより通常菌とMR分離菌株を識別することが可能と思われた.この殺菌協力作用は通常菌に対してとくに顕著であり, R分離菌株や, MR分離菌株にはほとんど見られないからである.実験室内選択で得たPTL-R変異菌株やPTL-MR変異菌株はPA剤に特異的に感受性が高く, PAとPTLの間で負相関交さ耐性の関係が成り立ち, 圃場分離菌株でも, PTL-R株においてはこの関係が成り立つが, PTL-MR株では成り立たず, PTL-MR分離菌は実験室的に得た変異菌株とは異なると思われた.なお, 同一病斑から通常菌株とPTL-MR菌株とが分離された例は本試験では見られなかった.
- 日本農薬学会の論文
- 1980-08-20
著者
-
片桐 政子
農環研
-
片桐 政子
National Institute of Agro-Environmental Sciences
-
上杉 康彦
National Institute of Agro-Environmental Sciences
-
梅原 吉広
Toyama Agricultural Experiment Station
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