大腸癌肝転移切除後の早期間欠的肝動注療法の意義

概要

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大腸癌肝転移の肝切除後残肝再発予防における術後早期間欠的肝動注化学療法の意義を検討した.対象は転移性肝癌切除症例32例で肝切除のみの群20例(A群),肝切除+動注療法群12例(B群)とにわけ比較検討した.間欠的動注療法は術後2週より開始し2週間隔のfluorouracil,4週間隔のmitomycin C,8週間隔のdoxorubicinを継続施行した.A群では20例中7例が再発し,残肝再発が10例にみられた.B群では12例中5例再発し,残肝再発が4例にみられた.残肝無再発生存率はA群1年28%,2年18%,3年0%,B群ではそれぞれ79%,53%,53%でB群のほうが有意に良好であった(p<0.001,p<0.05).累積生存率はA群1年82%,2年21%,3年10%,B群ではそれぞれ100%,44%,44%でB群のほうが良好な傾向であった.以上より肝切除後無再発期間の延長という面から間欠的肝動注療法の再発予防効果が認められたが,生存率からみた予後向上には薬剤,投与方法などさらなる検討が必要と考えられた.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1992-09-01