所属リンパ節における転移腫瘍の生物学的悪性度と宿主の反応性からみた Dukes C 直腸癌の予後についての検討

概要

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直腸癌Dukes C症例の転移陽性リンパ節(LN)における組織学的悪性度,転移陰性LNでの宿主反応の予後規定因子としての意義および両者の関連を検討した.転移陽性LNにおける腫瘍の簇出,被膜外進展のうち1所見でも認めるAT(+)症例の生存率曲線は,これらを全く認めないAT (-)症例に比べ不良であり(p<0.001),全再発率,局所再発率もおのおの高率であった(p<0.001,P<0.01).転移陰性LNにおけるparacortical hyperplasia,germinal center hyperplasia,sinus histiocytosisの2因子以上が高度な症例をNA(+),それ未満をNA(-)とし,また平均LN径を測定して予後との関連を検討すると,NA(+)群,LN径の大きな群はおのおのNA(-)群,小さな群に比べ予後は良好であり(共にp<0.05),またAT(+)症例の頻度は低率であった(p<0.05, p<0.01).以上より所属LNにおける腫瘍の組織学的悪性度と宿主反応は予後規定因子としての意義を有し,両者間には負の相関が存在することが示唆された.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1995-05-01