内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の免疫反応に及ぼす影響

概要

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内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)は生体に種々の影響を及ぼす可能性があることが指摘されている。今回我々は、環境ホルモンの生体影響を、マウスのリンパ球を用いて、in vitroで解析した。[材料と方法]環境ホルモンとしてBisphenol A:BPA,Bis(2-othylhexyl)phthalate:EHR,p-Nonylphenol:PNP,Diethylstilbesterol:DESを用いた。BALB/cマウス脾細胞をin vitroで培養し、上記環境ホルモンを添加し、DNA合成反応を[^3H]-thymidineの取り込みにより、サイトカイン産生、抗体産生をELISAにより測定した。[結果](1)BPA,EHP,PNP,DES等の環境ホルモンは、マウスの脾細胞を刺激し、DNA合成反応を促進した。ConA,LPS等のmitogenで誘導される反応もさらに亢進した。(2)この作用は、10^<-6>〜10^<-10>M濃度で見られたが、10^<-7>Mで最も著明であった。(3)これらの物質は、T細胞、B細胞両方の反応を促進させた。(4)これらの物質は、IL-2,IL-4,IFN-γ等のサイトカインおよび抗体産生も増強させた。[結論]BPA,EHP,PNP,DES等の環境ホルモンがin vitroで、リンパ球の反応性を亢進させた。このことにより、これらの物質が生体内で免疫系に何らかの作用を及ぼす可能性を有することが示唆された。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01