藥用サフランの球茎腐敗病に関する研究 : 第 1 報 種々な植物上及び土壤中における菌核病菌とフザリユーム病菌の腐生繁殖に就いて
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概要
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1.兵庫県和田村で発生する薬用サフラン球茎の腐敗は菌核病(乾腐病), フザリューム病, ボトリチス病, 青黴病などに基因し, 就中Sclerotinia gladioliによる菌核病及びFusarium oxysporum f. gladioliによるフザリューム病は被害が激甚である。2.菌核病とフザリューム病の両病原菌は種々な農作物, 雑草, 樹木などの枯れた茎葉上に良く発育した。前者は菌核, 後者は分生胞子と厚膜胞子を形成し, その発育程度は植物の種類によつて多少違つた。3.自然の土壤及び蒸気殺菌又は乾熱殺菌した土壤には両病原菌は何れも殆んど或は余り発育しなかつた。4.土壤に米糠, 麦糠又は麩の如き植物粉末を2%, 5%, 又は10%混入した場合には両病原菌は良く発育し, 菌核又は胞子を多数形成し, 殊に混入率2%より10%の方が頗る良好であつた。5.両病原菌の繁殖している各土壤の表面に農作物, 雑草, 樹木などの枯れた茎葉を其のまま横たえ被覆した処, 之等茎葉上に両病原菌が良く発育し, 菌核又は胞子を多数形成した。それらの形成程度は植物の種類によつて多少違つていた。6.サフラン畑の地面に散在していた胡麻の茎, 稲藁, 小麦藁, カシの葉, 籾殼には菌核病菌の菌核が多数形生し, また収穫跡地に放棄されていた被害球茎及び旧球茎にも菌核が多数形生しているのを認めた。更に土壤中にも認め, その菌核数は測定の結果土壤1g当り15∿40個であつた。7.サフラン畑の地面に散在しているカシの葉にフザリューム病菌の発生が顕著であつたが, 他の茎葉には肉眼では認められなかつた。また地上に放棄された被害球茎及び土壤中にもフザリューム病菌の小型分生胞子と厚腺胞子を認めた。8.サフラン栽培畦の表面を農作物, 雑草, 樹木などの枯れた茎葉で被覆し, また多量の堆廐肥, 種粕, 糠類などの植物質肥料を施す栽培法は無病地であれば良いが, 発病地では病原菌の繁殖を旺盛にし, 病害蔓延激発の原因となる。更にその跡地に他の作物を輪作しても, 斯る植物質を施す限り, 病原菌は餓死しないから輪作の効果が少ないと思う。
- 神戸大学の論文
著者
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山本 和太郎
兵庫農科大学
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山本 和太郎
Laboratory Of Plant Pathology Hyogo University Of Agriculture
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尾松 滝雄
兵庫農科大学植物病理学講座
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高見 和光
兵庫農科大学 植物病理学講座
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